国税調査官はブログも当然見ている

プライベートな旅行の旅費交通費が経費として計上されていたら……。調査官は、「Aさんは経費と生活費をきちんと分けていない」という事実を確認することになります。ということは「売上金額についても、正しく申告していない可能性があるのではないか?」というように思考が展開し、さらに綿密な調査をしようと思うのです。

ちなみに国税調査官はパソコンが登場するまでは、あらゆる情報を足で集めていました。国税局には税務調査を行わず、年中資料集めを担当している部署もあります。それに加えて調査担当者自身も調査先に出向いたその行き帰りも情報を集めるように、国税当局から指示されているのです。署内で急ぎの仕事を抱えている日以外は外出し、生の情報を収集しに出かけたものです。

私が調査官時代によく足を運んだのが百貨店です。百貨店でウィンドウショッピングをすると平均的なモノの価格や流行がわかります。またこんなこともありました。

高級ブランドを身にまとったご婦人が通路などに落ちているレシートを拾い集めているのです。その女性を捕まえて問いただすことはできませんが、税務調査の際に、足型のついた百貨店の領収書を見つけたことがありました。百貨店で見かけたご婦人のように、落ちた領収書を拾ったのかなと思い、経費帳でその領収書の日付の欄を確認したところ、勘定科目の欄には「接待交際費」、摘要欄には「○○百貨店」とだけ記入されていました。これ以外にも「○○百貨店」とだけ記入されている箇所があり経営者に尋ねたところ、「顧問税理士さんから領収書を集めて持って来るように言われていたので、そのようにしただけだ」という答えが返ってきました。

ここで押さえておくべきことは、申告内容の責任は税理士にあるのではなく経営者にあるということです。その支払いが経費になるかどうかは、領収書から税理士が決めるのではなく、経営者自身が判断しなければならないのです。

また百貨店に期間限定で出店している地方の物産店などはレジがなく、現金でやりとりしていることが多いのではないでしょうか。その場合、調査官は「ここの現金管理は大丈夫かな?」と感じ、そういう印象を受けたことを情報として資料化するのです。

最近は、誰でも簡単にインターネットを使って情報発信できるようになりました。国税調査官の情報収集にも役だっていることは想像に難くないでしょう。あなたがインターネットで発信した情報は国税調査官にも届くのです。

飯田真弓(いいだ・まゆみ) 税理士。産業カウンセラー。日本芸術療法学会正会員。初級国家公務員(税務職)女子1期生。26年間国税調査官として7カ所の税務署でのべ700件に及ぶ税務調査に従事。在職中に心理学を学び認定心理士の資格を取得、2008年に退職し2012年(社)日本マインドヘルス協会を設立し代表理事に就任。税務調査対応策という切り口から、一人一人が生き生きと元気に働くことが日本の企業の企業力(人間力)のアップにつながるとして全国で講演や研修を行う。著書『税務署は見ている。』(日本経済新聞出版社)のほか、DVD『税務調査に選ばれる企業の共通点』(H&W)他がある。facebookに「税務署は見ている」研究会(https://www.facebook.com/zeimushohamiteiru)を開設。
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