ライフコラム

ヒット総研の視点

「世界の発明50」に選出 30代リケジョが仕掛ける夢 日経BPヒット総研所長 麓幸子

2014/12/18

エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を切るコラム「ヒットのひみつ」。いまを象徴するキーワードから、話題の理由、面白いワケなど、「ひみつ」を明らかにします。今回のキーワードは【女性科学者】。2014年12月5日に雑誌『日経WOMAN』が主催するウーマン・オブ・ザ・イヤー2015が発表されました。2014年に活躍した女性の中に、これからの時代を読み解くヒントがありました。

日経WOMANが主催する「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2015」が2014年12月5日に発表となった。この1年で最も活躍した女性を選出するアワードで、今回で16回目になる。今回の大賞は、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)代表理事の小林りんさんだ。「社会を変革するリーダーを育てる」という理念を掲げ、2014年夏に日本で初の全寮制インターナショナルスクールを開校した小林さん。数々の困難を乗り越えて、日本の学校法人格を取得した、初の全寮制国際高校を開校した手腕が高く評価された。

■最先端技術で世界中から注目を集める30歳の女性研究者

今回の受賞者10人は大賞の小林さんのようにそれぞれ目覚ましい実績を挙げた女性だが、筆者が注目したのは、準大賞の玉城絵美さん(30歳)だ。「最先端の技術で世界から注目を集めるアントレプレナー研究者」と、日経WOMAN2015年1月号では紹介している。

ウーマン・オブ・ザ・イヤー2015 準大賞の玉城絵美さん(30歳)。日経WOMAN2015年1月号より(写真:洞澤佐智子)

同誌によると、玉城さんは、沖縄県出身。地元の琉球大学で情報工学を学んだ後、ロボットハンド制御の研究のため筑波大学大学院へ。その後進んだ東京大学大学院博士課程在学中の2010年に、コンピューターで人の手や指を動かす世界初の装置「PossessedHand(ポゼストハンド=操られる手という意味)」を開発した。この装置を国際学会で発表したところ多数の海外メディアに取り上げられ、11年には米『TIME』誌で「世界の発明50」に選出され、世界中の研究者から装置を使いたいという声が殺到した。「研究成果を世の中に役立てるには製品化する必要がある」と思った玉城さんは博士号取得後に起業、H2Lという株式会社を作り、ポゼストハンドを80万円という安価で発売、14年度単年度黒字を実現する。

「研究成果を世界中で利用してもらいたい」と玉城さん。開発した技術を惜しみなく提供し多くの研究者を巻き込んで世の中にイノベーションを起こそうする姿勢は、社会に対して積極的に働きかける新しいサイエンティストのリーダーシップを感じさせる――と同誌にある。

ウーマン・オブ・ザ・イヤーの表彰式でお会いした玉城さんは、モデルのようにスラッと背が高く美しく黒のドレスを素敵に着こなして、情熱的にスピーチしていた。新しい世代のリケジョ(理系女子)の、いやその中でもさらに少ないコウジョ(工学系女子)のロールモデルが誕生したと思った次第だ。しかもこのロールモデルは何かに誰かに依存することなく独立独歩、起業して会社を設立するなど、進取の気性にあふれている。

コンピューターで人の手や指を動かす世界初の装置「PossessedHand(ポゼストハンド)」(日経WOMAN2015年1月号より)
ポゼストハンドを使い琴の演奏時に適切な指が動くアプリケーションも開発した(日経WOMAN2015年1月号より)

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