医師880人に聞く 自ら実践する二日酔い対策
市販薬も活用、やはり水分補給
体のメカニズムに詳しく、"健康の専門家"とも言える医師は、とっておきの悪酔いや二日酔い対策法を知っているに違いない―。
そんな安易な期待から、医療従事者向けサイト、日経メディカル Onlineの医師会員を対象に、「忘年会直前!緊急調査」を敢行した(有効回答879人)。
集計したところ、「医師も人の子」を感じさせる"意外"な結果がまとまった。
65%が何の対策も講じず飲み会へ
まず、「忘年会や新年会などの酒席の前や、その場で、悪酔いや二日酔いの対策を講じているかどうか」について聞いた。その結果が図1。いつも、あるいは時々対策を講じる医師は35%で、65%の医師は、何の対策も講じず飲み会に向かっていた。まあこのあたりは一般人と同じ傾向といえそうだ。
医師の対策は「飲む量を調節する」が1位
次に、対策を講じている医師に、その手法を聞いた。結果が図2。市販薬やサプリメントを活用している医師が12%、飲み方を工夫するが20%、料理を食べるようにするが11%であった(なお図1で対策を講じないと答えた医師には「対策を講じることはない」を選択してもらった)。
「飲み方を工夫する」では88人が「飲む量を調節する」と答えていた。自由意見には「飲み過ぎないようにするだけ」「最初から飲む量を決めておく」「後半はノンアルコールにする」「午前0時以降は飲まない」等のコメント。アセトアルデヒドが悪酔いや二日酔いの原因であることを理解した上での、専門家の冷静な対応法といえる。
次いで多かった答えが「水、ソフトドリンク、ノンアルコールビールなどを途中で適宜飲む」というもので27人。飲酒途中の水分摂取を医師も実践しているというわけだ。このほかの答えは「ゆっくり飲む」が17人、「飲み会の前に食べ物をあらかじめ摂取」が14人、「ちゃんぽんを避ける」が5人だった。
医師も頼る「ウコン」、「五苓散料」が思わぬ人気
さて、先でも触れたように、12%の医師が二日酔い予防に市販薬などを活用しているとの結果が出ているが、具体的にどんな市販薬、健康食品を活用しているのだろうか。1位は「ウコンの力」などのウコンが入った飲料で49人。2位が「へパリーゼ」ブランドの市販薬と漢方薬の「五苓散料」で、ともに8人であった。このほかには「ハイチオールC」「ソルマック」「大正漢方胃腸薬」「H2ブロッカー」などが数票ずつ獲得していた。
酒飲みの医師の間でも、ウコンの人気は圧倒的に高い一方、一般人があまり選びそうもない「五苓散料」が上位に入っているのが興味深い。なお、同じ漢方系市販薬では「黄連解毒湯」を4人が選んでいた。二日酔いに効くとされる主な市販薬、飲料については表1を参照されたい。
「水分」こそが「二日酔いの万能薬」
では実際に二日酔いの朝を迎えた医師は、どんな対策を取っているか。その結果が図3だ。「水分を摂取する」が56%でダントツ。「市販薬やサプリ、ドリンク剤などを飲む」と「風呂に入る」が8%ずつだ。この連載でも解説してきたように、「水分」こそが「二日酔いの万能薬」であることが、今回の調査結果からもわかる。
最後に、医師が二日酔いの時に飲む「市販薬やサプリ、ドリンク剤」の内容も見ておこう。回答数の多いものから順に「ポカリスエット、アクエリアス、OS-1などの飲料水」が27人、「ウコンの力」などのウコン入り飲料が8人、「五苓散料」が7人、「黄連解毒湯」が2人であった。
このほか、医療機関で処方される消化性潰瘍の薬、PPI(プロトンポンプインヒビター、商品は「タケプロン」「パリエット」ほか)を挙げた医師が5人いた。以上の結果からも水分補給の重要性がわかるが、同時に「五苓散料」の医師の間での隠れた人気もうかがえる。
「医師も人の子」。医師だからできる特殊な二日酔い対策などなく、普通の人々と同じように、地道にお酒と闘っているのでした。
(文:千田敏之=日経BP社医療局編集委員)
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