高速渋滞対策、1月2~3日はピークを巧みに外せ
編集委員 小林明
年末年始の帰省シーズンがいよいよ近づいてきた。今年の全国各地の高速道路の渋滞状況にはどんな特徴があるのだろうか? 渋滞を避けるための工夫や注意点、運転術などとあわせてまとめてみた。
高速道路の渋滞状況を大きく左右するのが日並び。「今回の年末年始の日並びは、年末に渋滞が分散し、年始に渋滞が集中する傾向が強いのが特徴です」。中日本高速道路の広報担当者はこう解説する。
年末は休み多く、渋滞は分散傾向
さっそくカレンダーで確認してみよう。まず年末はどうか?
今年の「仕事納め」は曜日の関係から金曜日の12月26日になる会社が多いと予想される。つまり、通常よりも早く休みに入るので、その分、下り線は比較的楽に帰省できることになる。たとえば昨年の年末は「仕事納め」が金曜日の12月27日。今年は昨年よりも休みが1日分多く、高速道路の渋滞はより分散されるというわけ。
実際に年末の10キロ以上の高速渋滞予測(高速道路各社の集計)を比べてみると、前回は12月29日(日)の11回、28日(土)の9回がピークだったが、今回は大きなピークが見あたらない。グラフからも今回の方が渋滞回数が少ない傾向が読み取れる。
年始は休み少なく、渋滞は2、3日に集中
では、年始はどうか?
今回の「仕事始め」は曜日の関係から月曜日の1月5日という会社が多いと予想される。前回の「仕事始め」は月曜日の1月6日だったから、今回の方が休みが1日少なく、高速道路の渋滞はより集中することになる。
実際に年始の10キロ以上の高速渋滞予測を比べてみると、前回は1月3日(金)の39回、2日(木)の30回がピークで、今回は3日(土)の44回、2日(金)の37回がピーク。グラフからも今回の方が渋滞回数が多い傾向が読み取れる。
さらに下り線の渋滞も年末よりむしろ年始(週末の1月2、3日)にピークを迎えると予測されている。こうした状況から「今回は年末の下りの移動は比較的楽だが、年始の上りの移動は渋滞がかなり集中するので注意が必要だ」(中日本高速道路)という。
今回の上り線の渋滞が深刻
主な高速渋滞の日時、場所についても明らかな特徴がうかがえる。
ピークの渋滞の長さが30キロ以上の高速渋滞予測は、今回が下り4カ所、上り14カ所。前回の予測では下り3カ所、上り6カ所だったので、今回の上り線の渋滞がより深刻だということが分かる。特に1月2日、3日ともに東名の大和トンネルでは全体で最長の45キロ、関越の高坂SAでは35キロと40キロの大渋滞が予測されている。2日と3日は上り線だけでなく、下り線でも渋滞のピークが予測されているので移動には傾向と対策が重要になってくる。
では、高速渋滞を避けるにはどうしたらよいか?
たとえ渋滞が集中する1月2日や3日に移動する場合でも、渋滞がピークを迎える時刻と場所をうまく避ければ時間をかなり節約できる。
出発時刻をピークからずらす
グラフは中日本高速道路が前回の年始(2014年1月3日)の東名高速の渋滞データをもとにシミュレーションしたものである。静岡ICから東京ICまで移動する場合、ピーク時の16時に出発したら約3時間43分かかるが、出発時間を朝7時に早めたら約1時間46分で済む。つまり、約1時間57分も短縮できる計算になる。
「各高速道路の渋滞にはピークの時刻と場所が予測されている。できるだけそれを避けるように移動するだけでも時間のロスをかなり防ぐことができる。各社のホームページを参照してほしい」(高速道路各社)という。
「急がば回れ」、車間40メートルを維持
最後に高速渋滞を緩和する運転術を紹介しよう。
まず大切なのは車間をつめ過ぎないこと。必要以上にブレーキを踏み込むと、起きなくても良い渋滞が起き、交通量が急速に減ってしまう。目安となるのは車間距離40メートル。東京大学の西成活裕教授の調査研究によると、車間距離を40メートル以下につめると、渋滞が起きやすくなることが分かっている。
また必要以上に車線変更をするのも渋滞を起こす原因になるので注意が必要。先を急ごうとするあまり、追い越し車線に自動車が集中すると渋滞が起きやすくなるからだ。
「急がば回れ」は真実なのだ。
下り坂から上り坂にかわる「サグ」部などでは運転者が気付かないうちに速度が落ち、後続の自動車が次々にブレーキを踏むという連鎖から渋滞を起こすメカニズムも分かっている。上り坂など注意喚起のある場所では、速度回復に努める工夫も必要だ。
事前に準備しておけば、自分にとっても渋滞の苦痛が軽減できるし、一人ひとりの努力が渋滞自体の緩和に役立つ。渋滞回避のためのスマートな運転術をぜひ心がけたいものだ。
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