レジャーからアートまで、消費けん引するプリュ世代
日経BPヒット総研 石井和也
2014年11月、ハワイ島の大規模リゾート施設のワイコロア・ビーチ・リゾートに取材に訪れた際、ゴルフ場のスタッフから、「40代の女性同士でラウンドする日本人客が増えている」という話を聞いた。
ほかにも大きなフラの大会のたびにその世代の日本人女性でにぎわうし、女性同士でレンタカーを借りて、ハワイ島の絶景やパワースポットを楽しみにドライブに出かける人も多いとホテルスタッフ。ワイコロアでは、タイムシェア型のコンドミニアムも販売しているが、「夫婦で購入する人が多いが、奥様が友人と訪れて女子会を楽しむ光景も珍しくない」(ヒルトン・グランド・バケーションズ・クラブ)と話していた。
ゆとりがある、アクティブな40代女性が、ワイキキやカラカウア通りのあるオアフ島ではなく、手付かずの自然が多く残るハワイ島に出かけて、自分たちなりのワンランク上のレジャーを満喫しているのだ。いまこの世代の女性たちが消費をけん引し始めているという話をさまざまな業界で聞くようになった。この人たちはいったい何者なのか?
大人の女性たちの意識の高さと経済力がヒット商品を生む
12月6日に発売された「日経トレンディ pLus(プリュ)」の中心読者層が、まさにこの世代。チーフエディターの奥井真紀子さんは、「彼女たちは20代でバブルを経験し、好景気を謳歌した世代。仕事もこなし、子育ても一段落する時期で、自分のために時間やお金を賢く使いたいという傾向がある。そんな大人の女性の気持ちが上がる商品やサービスが求められている」と話す。
同誌に寄稿しているそごう・西武の得丸真実子さんも、「いつまでも若々しくエイジレスな感覚を備え、旺盛な好奇心のままに、自分を進化・向上させることにアクティブに取り組んでいる。またバブル期に審美眼が鍛え上げられ、流行にも敏感という自負から、ショッピングだけでなく、映画やアートに親しみ、美容と健康、食に関することは常にワンランク上を目指している」と分析する。
そごう横浜店では、履き心地と美しさを兼ね備えた、オリジナルの8センチヒールのパンプスを開発。婦人靴内場で販売数1位を続けている。また産地や素材にこだわり、美味と安全性を両立させたプライベートブランド商品「食源探訪シリーズ」の調味料やだしもヒットしているという。
pLus(プリュ)世代の大人の女性たちの意識の高さと経済力は、流行やヒット商品を生み出す潜在力を秘めている。2015年は、彼女たちの感性をいかにくすぐるか、さまざまな業界が思案・模索する年になりそうだ。
日経BPヒット総合研究所 研究員。コンシューマー局プロデューサー。『日経トレンディ』『日経ゼロワン』『日経キッズプラス』の副編集長、『日経おとなのOFF』の編集委員などを経て現職。キッズからシニアまで各世代のライフスタイルをウォッチ。共著に『ものづくりの未来が見える 3Dプリンター完全マスター』(日経BP社)がある。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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