生体には、最初に入ってきたものに対して免疫を獲得する「感作」というシステムがある。この免疫反応でIgE抗体が作られ、アレルギー疾患を発症してしまう。
本来皮膚は感作を起こしにくいが、湿疹があると皮膚表面の抗原を免疫細胞が取り込むために、“経皮感作”が起きる。だから保湿をしてバリア機能を高めることが重要なのだ。
一方、口から入った食物に対しては、免疫反応が起こらないようにするシステムが働く。これを“経口免疫寛容”という。この仕組みを利用して、アレルギーの原因食物を少しずつ食べてアレルギー耐性を獲得する治療法があるが、同様に、健康な皮膚から少量の抗原を塗りこんで花粉症などを治療する経皮免疫療法も研究が進んでいる。
「大人でも経皮感作により食物アレルギーを発症する可能性がある。湿疹ができたら早めにステロイド外用薬で治療を」と松本部長。年齢を問わず、湿疹治療は重要と強調する。
この人に聞きました

松本健治さん
国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー研究部 部長。高知医科大学医学部卒業。同大学医学部付属病院小児科、国立小児病院小児医療研究センター、理研免疫アレルギー科学総合研究センターなどを経て現職。日本アレルギー学会指導医。
国立成育医療研究センター研究所免疫アレルギー研究部 部長。高知医科大学医学部卒業。同大学医学部付属病院小児科、国立小児病院小児医療研究センター、理研免疫アレルギー科学総合研究センターなどを経て現職。日本アレルギー学会指導医。
(ライター 牛島美笛)
[日経ヘルス2015年1月号の記事を基に再構成]