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はやり廃りの激しい油、健康にいいのは何

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日経Gooday(グッデイ) カラダにいいこと、毎日プラス
いろいろな健康法やダイエット法が流行っては廃れていく昨今。情報が多すぎて「何をどれだけ食べたらいいか」がわかりにくい時代。だからこそ、栄養の基本のキを押さえておきましょう。

脂肪=「体に悪い」「太りそう」というイメージを持っていないだろうか。脂肪は1gあたり9kcalと高カロリーなので、確かに、とりすぎれば生活習慣病や肥満の原因になる。しかし、細胞膜やホルモンの材料となる重要な栄養素でもあるので、健康や美容のためには、適度に摂取する必要がある。だが、この「適度に」というのが難しい。

「脂肪=悪者と思われがちですが、脂肪を構成する脂肪酸にはいくつかの種類があり、種類によって体内での作用や役割が異なります。種類とバランスを見極めて取り入れることが大切です」(女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏)

リノール酸がもてはやされた時代があった

40代以上の方はご記憶にあるのではないだろうか。リノール酸が豊富なサラダ油やマーガリンのCMの数々を。かつて、「動物性脂肪はコレステロール値を上げ、動脈硬化や心臓病の原因になるから健康によくない。コレステロール値を下げる植物性のリノール酸を積極的にとろう!」といわれた時代があり、多くの製品が作られた。

筆者が小学生だった昭和50年代は、パンに塗るものといえば、もっぱらマーガリンだった。給食のパンにも必ずマーガリンがついていたものだ。が、大人になってからは、食べる機会がめっきり減った。

リノール酸を多く含む油とは、紅花(サフラワー)油、ひまわり油、コーン油、大豆油などだ。"リノール酸=ヘルシー"と刷り込まれた世代には残念なことだが、最近では、リノール酸のコレステロール低下作用は短期的なもので、長期間多くとると、心臓・脳血管系疾患や欧米型がん、アレルギー性疾患などの原因になるという報告(*1)もある。

減らしたい脂肪酸と積極的にとりたい脂肪酸

脂肪(中性脂肪)を構成している脂肪酸にはいろいろな種類がある(表参照)。脂肪酸は炭素と水素が鎖のように連なった構造になっていて、炭素と炭素の結びつきに「二重結合」と呼ばれる分子構造があるかどうかで、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類される。二重結合がないのが飽和脂肪酸で、あるのが不飽和脂肪酸だ。不飽和脂肪酸はさらに、二重結合の数によって分類される。1つのものが「一価不飽和脂肪酸」、2つ以上のものが「多価不飽和脂肪酸」だ。

*1「リノール酸摂取量の削減および油脂食品の表示改善を進める提言」(日本脂質栄養学会) http://jsln.umin.jp/teigenhamazaki02.htm

まず、とり過ぎに注意したいのは、肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸だ。「飽和脂肪酸をとりすぎると体内でのコレステロールの合成が進み、特に、LDL(悪玉)コレステロールの量が増えます」(上西氏)

飽和脂肪酸を多く含む油は融点が高く、常温で固体なのが特徴だ。飽和脂肪酸をとりすぎると、血液の粘り気が増し、生活習慣病のリスクを高めることはよく知られている。

前述したリノール酸は不飽和脂肪酸だ。そのうちの多価不飽和脂肪酸で、n-6系脂肪酸に分類される。「不飽和脂肪酸のリノール酸、アラキドン酸、α-リノレン酸は、体内で必要量を合成できないため、食品からとり入れる必要があります」(上西氏)

リノール酸は一時期の過剰なブームが、とり過ぎにつながる原因になったという。「リノール酸は植物油以外にも、種実類、菓子類、魚、肉など、いろいろな食品に含まれているので、通常の食事をしていて不足することはまずありません」(上西氏)。つまり、リノール酸はもう十分にとれているので、積極的にとる必要はないというわけだ。

一方、意識してとりたいのは、不飽和脂肪酸のn-3系脂肪酸だ。「n-3系脂肪酸は血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロール値を上昇させる作用があります」(上西氏)

身近な魚に含まれるn-3系脂肪酸の量
サバ 切り身1切れ(80g)4.70g
マグロ(トロ) 刺し身4切れ(60g)3.49g
サンマ 中1尾(正味100g)3.95g
ブリ(ハマチ) 切り身1切れ(90g)3.27g

n-3系脂肪酸の摂取基準は、30~49歳の男性で2.1g、女性で1.6gだが、魚にどれくらい含まれているのかをご存じだろうか?

「n-3系脂肪酸の摂取基準は、魚を1日1回食べればクリアできます。肉を食べることが多い人は意識して魚を食べるといいでしょう」(上西氏)

最近人気の植物油はオレイン酸がリッチなもの

最近、スーパーの油売り場には、たくさんのオリーブ油が置かれている。オリーブ油には一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が多く含まれているのが特徴だ。「オレイン酸は構造上酸化しにくく、LDLコレステロールだけを下げるといわれ、動脈硬化の予防効果が期待されています」(上西氏)。地中海周辺の国々で心臓病による死亡率が低いのはオリーブ油を使っているから、という話を聞いたことがある人もいるだろう。

また、サラダ油のうち、2種類以上の油を混合して作られるものを調合油というが、最近は、オレイン酸が豊富なキャノーラ(なたねの一種)油をベースにしたものが主流だ。

体脂肪になりにくい中鎖脂肪酸

中鎖脂肪酸を多く含む油も人気だ。中鎖脂肪酸とは脂肪酸の種類を表す言葉ではなく、脂肪酸を構成する炭素数の多少によって「短鎖脂肪酸(炭素数4~7)」「中鎖脂肪酸(炭素数8~12程度)」「長鎖脂肪酸(炭素数12程度~)」と分類する際に使われる。

植物油のほとんどが長鎖脂肪酸だが、「ココナッツ油やパーム油など一部の油には中鎖脂肪酸が含まれます。中鎖脂肪酸は消化・吸収の過程が長鎖脂肪酸と違い、吸収が早く、肝臓で素早く分解されてエネルギーとして利用されます。そのため、体内に蓄積されにくく、食後の血中中性脂肪が増加しにくい傾向にあります。肥満の人や、体脂肪が気になる人に薦められます」(上西氏)。

トランス脂肪酸の正体を知っておこう

とりすぎに注意したい脂肪酸のうち、ちょっと特殊なものがトランス脂肪酸だ。トランス脂肪酸は自然界にも存在するが、主に、以下3つの場合に生じるといわれている。

・植物油を化学処理(水素添加)して固形にするときに生じる(マーガリンやショートニングなど)

・植物油を精製する際、脱臭の過程で生じる(精製植物油など)

・油を高温で加熱する調理のときに生じる(揚げ物など)

トランス脂肪酸を多くとると心臓病のリスクが高くなるといわれ、アメリカなどでは加工食品の栄養表示において、トランス脂肪酸の含有量の表示が義務づけられている。

「日本人は欧米人に比べてトランス脂肪酸をとる量が少ないので、普通に食事をしている限り、さほど心配はいりません。しかし、ファストフードの揚げ物、菓子類、インスタント食品、買ってきた弁当などばかり食べている人は注意が必要です」(上西氏)

ファストフートなどではショートニングを使ってフライドポテトやドーナツが揚げられていることが多い。ショートニングはサクサク、パリパリした軽い食感を出すのが得意なので、こういった食感の市販の菓子類にもトランス脂肪酸が多く含まれている。

また、市販の揚げ物は植物油を何度も使い回している場合が多いため、やはりトランス脂肪酸が含まれている可能性が高い。揚げ物は新しい油を使って自分で揚げ、すぐに食べるのが安心だ。

食品にはいろいろな脂肪酸が含まれている

これまでいろいろな脂肪酸の特徴について解説してきたが、実際の食品には、どれか1つの脂肪酸が単独で含まれていることは、まずない。植物油の例をみてみよう(グラフ)。魚、肉、大豆などの食品も、このように脂肪酸を複合的に含んでいることを知っておこう。

ちなみに、紅花(サフラワー)油やひまわり油は、かつてはリノール酸を多く含む植物油の代表だったが、現在出回っている商品はオレイン酸が多く含まれる「ハイオレック種子」から製造されているため、オレイン酸が豊富なものが多い。また、最近のマーガリンはトランス脂肪酸の発生を抑えたものが多くなっている。

このように、植物油や植物油をつかった商品には、複雑な歴史や事情があるため、選び方が非常に難しい。一概に何がいい、何が悪いとはいいにくいのが実情だ。

どれか1つに偏ると裏切られることも

今現在、油を上手にとりいれるためには、以下の4点がポイントになるだろう。

・調理にはオレイン酸が豊富な油(オリーブ油など)を使う。

・どんな油も新鮮なものを使う。

・1日1回は魚を食べる。

・ファストフードや加工品を食べ過ぎない。

「栄養学は日々進歩しているので、新しいことが解明されれば、それまでの常識が覆されることもあります。ですから、流行のものに飛びついて、そればっかりにならないほうがいい」(上西氏)

リノール酸神話の崩壊から我々が学べることは、「油はいろいろな食品から取り入れたほうがいい」ということのようだ。

(文:村山真由美=フリーエディター・ライター)

Profile 上西一弘(うえにし かずひろ)さん
女子栄養大学栄養生理学研究室教授
徳島大学大学院栄養学研究科修士課程修了後、雪印乳業生物科学研究所を経て、1991年より同大学に勤務。専門は栄養生理学、特にヒトを対象としたカルシウムの吸収・利用に関する研究など。箱根駅伝では東洋大学陸上部を栄養面からサポートしている。
『日本人の食事摂取基準2015年版』策定ワーキンググループメンバー。

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