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家族も仲間もいるけど… 1人を満喫「ぼっち族」

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友人や恋人、家族もいて、仲が悪いわけではない。それでも連れ合いに気を使わず1人で消費を楽しみ、自分の世界に浸る人々が増えている。名付けて「ぼっち族」。気楽な独身生活を積極的に謳歌する「お一人様」とは違うぼっち族の生活行動に迫った。

夫婦げんかの後に重宝? 家でこもるテント

ぼっち族の増加はじわりと新たな商品・サービスを生み出している。

「どうやって組み立てるの?」「オーディオルームに使えるかな?」。東京・秋葉原のパソコンショップ「ツクモパソコン本店」に11月下旬、黒い直方体のテントが出現した。商品名は「ぼっちてんと」(6980円)。高さ160センチメートル、幅と奥行きは130センチ。採光や温度調整ができ、収納も簡単だ。

ぼっちてんとはアウトドア用テント開発のビーズ(東大阪市)が5月に発売した。商品企画の川瀬隼利さん(31)が「コミュニケーションを偏重する風潮に嫌気がさした」ことが誕生のきっかけ。部屋の中にテントを張れば、1人こもれる空間を創出できる。これまで数千個を出荷した。

単文投稿サイトには「夫婦げんかのとき1日こもるのにちょうどいい」などの書き込みもある。ビーズによると「自宅できわどい内容のアニメの観賞に浸りたい女性の購入も意外なほど多い」という。現在は小さめサイズや遮音効果の高い新商品を検討中だ。

ツクモを運営するプロジェクトホワイト(東京・千代田)は「自分の部屋がないお父さんが家族から邪魔されず、ゲームや音楽を楽しむ空間が欲しいはず」(商品部)とパソコンやオーディオなどとの親和性から、販売を決めた。札幌市、名古屋市など全国の店でも扱う。

「ドレスを着たい」1人花嫁姿でフォト

「うわあ。きれい!」大阪市の会社員、山中忍さん(43)は11月8日、京都市内のブライダルショップで30種類ものウエディングドレスを見た瞬間、口に手を当てて叫んだ。結婚間際のカップルによくある風景かと思いきや連れの姿はない。「今日は一人で来ました」

旅行会社のチェルカトラベル(京都市)が企画した女性一人向けの疑似ブライダルツアー。その名も「ソロウエディング~恋するドレス~」だ。1日目はドレス選びとブーケ作り。2日目はスタイリストにヘアメークをしてもらいドレスを着た「花嫁姿」をカメラマンに撮影してもらう。

ツアー参加費用は1人利用で30万~34万円。決して安くはないが、年内の予約は満杯で、来年7月まで予約が入る盛況ぶりだ。参加者も30代半ばから60代まで幅広い。

独身の山中さんは「エア新婦」を楽しむが、この日、参加した佐金美弥子さん(37)は事情が違う。京都市で音楽教室を自営する佐金さんは12年前に結婚式を挙げ、3人の子供と夫がいるのだ。

「ドレスをもう一度着たい」。ツアーを知った瞬間、参加を即決。子供や夫がいても自分がしたいことに妥協はない。ぼっち族ならではだ。

前日選んだドレスを着てロケ地の庭園、修学院にハイヤーで向かう。色づいた木々に囲まれ、カメラマンの指示を受けながら、ポーズや場所を変えて1時間にわたり撮影した。周囲には人はほとんどおらず、園内にシャッター音が響く。

佐金さんは「物語の主人公になったような夢の時間。女性としての喜びがわっとあふれ出て、撮影中涙をこらえるのに必死だった」と目に涙を浮かべていた。山中さんも参加に迷ったが「やってよかった。全然疲れていない」と満足げだった。数百枚に及ぶ写真はアルバムとUSBメモリーに収められ2週間前後で2人の元に届けられる。

この企画を考案したチェルカトラベルの赤居夏美さん(36)は、自身も独身だがドレスを着たかった。「ウエディングドレスは女性の永遠の憧れ。相手がいるとかいないとか関係ない。ツアーの反響は予想通り」。確かに二人は「ぼっち」を満喫していた。

博報堂の調べでは、約3000人に増やしたい時間を聞いたところ2014年は28.7%が「一人で過ごす時間」と答えた。

マーケティングライターの牛窪恵氏は「『自分へのご褒美』の支出に慣れた世代が結婚しても一人の時間を求めている」と分析している。

相乗りOK、テーマパークにだんまりの列

10月下旬の平日。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の人気アトラクション「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド4K3D」には、1時間待ちの長い列ができていた。家族や友人らと並ぶ団体客のかたわら、一人客が専用通路を通って列の先頭に向かう。

通路上には「シングルライダー」の札。USJは5つのアトラクションで、一度に乗せる定員に満たないグループと、一人客が相乗りするコースを設けた。

一人でスパイダーマンのアトラクションに乗った大阪市内の女子大生は「少し恥ずかしいけれど、乗ってしまえば気にならない」と笑う。シングルライダーは口コミで広まり、70分待ちの時も。スマホをいじりながら時間をつぶす無言の客が長蛇の列をなす。

博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー、原田曜平氏は「20代などの若年層がぼっち消費をけん引している」と話す。SNS(交流サイト)での付き合いは時に面倒。そのストレスから逃れるために、一人の時間を求める若者が増えたとみる。

孤独な人と見られるのは嫌だが、自分のペースは守りたい。そんなぼっち志向を映しているのが大学の食堂だ。

ぼっち席を先行導入したのは京都大学。京都市の吉田キャンパス・中央食堂で2012年、学生の要望で全体の約1割にあたる約60席のテーブル中央に仕切りを設けた。ある学生は「おかげで一人飯をちゅうちょしなくなった」と喜ぶ。

神戸大学も13年、六甲台第1キャンパス(神戸市)の食堂のテーブル席12席に仕切りを設けた。「ぼっち席」を好んで使うという学生は、「一人で行動することに抵抗はない。カウンター席というイメージでぼっち席を使っている」といい、「ぼっち席はグループ利用が無いため騒がしくなく落ち着ける」と話す。ぼっち席の利用は男子学生が約7割で、14年4月に他キャンパスの食堂にもぼっち席を設けた。

学習院大学(東京・豊島)も14年4月にぼっち席を設置。複数の大学の食堂を受託運営するアイビー・シー・エス(東京・渋谷)によると、心地よいせいか、ぼっち席は滞在時間が長くなりがちという。

SNSが孤独感を和らげる

ぼっち族はただの孤独好きではないし、独身志向の強いお一人様でもない。「旅行は絶対に一人」「映画は一人で鑑賞する」「一人コーヒーを飲みながら、読書を楽しみ、スマートフォン(スマホ)を操る」――。背景にあるのは世代、性別、地域などに応じた趣味の多様化。家族といえども、それぞれ自分のリズムで消費を楽しみたいと思う人が増えているからだ。

一人っ子が増え、自分だけで楽しめるタイプが多くなったことも一因かもしれない。調査会社エヌピーディー・ジャパン(東京・港)によると、外食の相手は誰が多いか聞いたところ、「一人」の比率が2013年は41.6%で、09年と比べ6.4ポイント上昇。一方で友人、恋人、同僚が減った。

スターバックスコーヒージャパンの関根純社長は「ソファより電源のあるカウンターの方が先に埋まることに驚いた」と話す。最近、外食店はスマホやパソコンの充電ができるコンセントの設置や、無線高速通信の環境整備を急いでいる。

電通若者研究部の小木真研究員は「若者はぼっちであることをSNS(交流サイト)で発信して自分を低めに位置づけ受け手に共感してもらいたがっている」とみる。ネットでは充実した私生活、いわゆる「リア充」に対して「ぼっち充」という言葉も広がっている。東京ディズニーランドに一人で遊びに行く「1人ディズニー」も珍しくない。

旅行では昨秋に日本旅行が発売した国内旅行「おとなのひとり旅」の利用者は当初から3倍に増えた。ローカル鉄道や寺社巡り、昔の町並み歩きといった渋い大人好みの内容だ。赤い風船事業部の大槻厚事業部長は「SNSなどで体験を共有できるため、寂しさを感じないことが一人旅を後押ししている」と分析する。JTBも昨秋から「海外ひとり旅」を扱う。

総務省の社会生活基本調査によると、付き合いに使う時間は年々減少傾向でデータが取れる直近の11年は全体で1日当たり19分と01年より約3割減った。年齢別では20~24歳の減少幅が大きい。今後の消費を考える上で「ぼっち」は重要なキーワードになりそうだ。

(藤野逸郎、川崎なつ美、中川竹美、福田航大)

[日経MJ2014年12月5日掲載]

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