せっかくのプレゼント もらう側の気持ちも考えて
先読みが大切
妻や子ども、両親らの誕生日が近づくと、僕はいつも家電専門店や百貨店を歩き回り、どんな贈り物が喜ばれるだろうかと考える。
僕は贈り物するのが結構好きだ。先日は義母に奮発してタブレット端末をプレゼントした。そういった機器におよそ縁のない人だったので最初、妻は「猫に小判よ」と反対していた。
けれども以前に義母は、僕がスマートフォンを指先で操作するのをとても興味深そうに見ていたことがある。きっと喜んでくれるに違いない。プレゼントしたら案の定、「ありがとう! インターネットって本当に面白そうね」と飛びついてくれた。作戦大成功だ。
「これがあったら喜びそうだな」と相手の気持ちを先読みするのが贈り物を決めるときの大事なところだ。読みが当たれば「さすがお父さん」「いつもありがとう」とポイントが高くなる。家族とのコミュニケーションが深まれば何よりだ。
もっとも贈り物作戦がいつも成功するとは限らない。昨年、妻に贈ったオレンジ色のコートは結局、まだ一度も着てもらっていない。年を取ったら派手な服もすてきだと思ったのだが、女心を読むのは難しい……。
微妙なズレにため息
「宅配便でーす」。自宅に注文した覚えのない荷物が届き、ずっしり重い段ボール箱を開けると、電子レンジほどの大きさがあるパスタマシンだった。パスタのほか、うどんや中華麺の作り方を紹介したレシピ本まで入っている。
「もっちもちで、おいしい~。手作り麺は最高だね」。彼と先週、イタリア料理店に行ったことを思い出した。「本当においしそうに食べるよね」と私の食べっぷりに感心していたあのとき、このサプライズをひらめいたに違いない。お米の置き場にすら困るのに。一人暮らしのキッチンのどこに置けばいいの?
彼のプレゼントは微妙にずれている。誕生日にはビーズが猫の模様に縫い付けられたアジア風のハンドバッグをもらった。街を歩いているとき「かわいい」と私が何気なく発した言葉を覚えていたらしい。かわいいと欲しいは別物。私の普段の洋服には似合わない。しかも結構高価なのが悲しい。だったら、あのネックレスが買えたのになぁ。
ひどい女でごめんなさい。猫バッグもパスタマシンもきっと、ずっと活躍しない。サプライズより相談して欲しいな。何でも喜んだふりをするのが良くないのかな。「彼からもらった」ことはうれしいのだけれど。
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