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「何かが違う」は心のSOS、危機に向き合う

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ミッドライフクライシスとは、中年期に思ってもみなかった自分の本心に気付き、価値観が揺さぶられたり、葛藤が起こること。それまで頭で考えていたことと、無意識に求めていたもののズレに気付くことは、ミッドライフクライシス克服の第一歩と言えそうです。しかし、臨床心理士であり、東京大学大学院医学系非常勤講師の園田由紀さんによると、それは「決して楽なものではない」そうです。

見えなかった現実に気付くと、人は深く傷つく

 「気付きは、深い傷を伴います。ものの見方や自分に対する意識が確立してくる中年期の気付きとは、『今までの価値観が無価値だとか、間違っていたかのように思える』という感覚に近いのです。それは、単純に『悩みや迷い』という言葉でひとくくりにできるものではありません。今まで見えなかった現実が見えると、人は現実を受け入れがたく、時には恐怖すら感じます。すると、これまで自分が信じていたことや、ものの見方が間違っていたのではと考え、途方もない罪悪感や無力感を感じることも、しばしばあるのです」

では、「見たい現実」だけを見ていたそれまでの見方や価値観は、間違いだったということなのでしょうか。

 「いいえ。それまでのものの見方や選択が間違っていたのではありません。何かを確立するには、一方を犠牲にする必要があるだけです。それまでの見方や選択をする際、一方を捨てたからこそ、今の自分があるわけです。そして、人生の前半に、今の自分を確立してきたからこそ、人生の後半に挑んでいけるともいえます。要するに、それも含めて、成長のプロセスなのです。ミッドライフクライシスは、置き去りにしてきた自分を成長させることができる最大のチャンスと言えるでしょう。やり残してきた課題を受け止めて向き合うことで、自分の力をさらに発揮したり、自分の存在価値に対し、それまでよりさらに自信が持てるようになるはずです。こうして『受け入れがたい自分』を受け入れられるようになると、他人に対する許容範囲が一気に拡大するでしょう」

しかし、それほど深く傷ついた時、すぐに本当の自分を受け入れ、他人を受け入れるようになるのでしょうか。

 「それまでの自分のものの見方や価値観が間違っていたと思ったとき、不安になったり、何かしなきゃと焦る人が多いですね。ミッドライフクライシスの真っ最中は、身動きが取れないような気持ちになりがち。そのため、急激な変化を求めてキャリアチェンジや突然の結婚、離婚、不倫など、極端な行動に走ってしまう人もいます。不安定な状態で下した極端な判断は、後に大きく悔やむことが多いもの。ミッドライフクライシスの時は、性急に物事を決めたり、環境を変えたりせず、どうにもならない混沌とした状態に身を置きながら、自分をじっくりと見つめ直す時間が大切だと思います。一人でそうするのが難しいと感じる場合は、専門家の支援を受けるのもいいでしょう」

自分から目をそらし続けると大切な人を傷つけることに

一方、深く傷つくのを恐れ、「やり残した課題」や「置き去りにした自分」に向き合うのを避け続けていると、別の問題が生じるのだそう。

「やり残した課題や置き去りにした自分と向き合う過程では、罪悪感に苛まれて心が折れそうになることもあります。ですから、相当な自我の強さが必要なのです。自我の強さを持っていないと、心の危機に向き合うことができません。すると、身近な人を傷つけてしまうことがあるのです。というのも、自分と向き合うことを避けていると、他人に投影してしまうからです。投影とは、やり残した課題や置き去りにした自分の気持ちを、他の人の中に見いだすこと。投影は親や配偶者、子ども、近しい部下など、『自分より弱い立場』とその人がとらえた身近な人が対象になることが多いのです」

その現れ方には個人差はあるようですが、例えば、突然部下のミスや足りないところを徹底的に責めたてて追いつめたり、夫や子どもの性格や行動を全否定したり…。こうしたケースは、確かに相手にも「少しは」問題があったかもしれませんが、それ以上に、相手の中に「見たくない自分」を見つけた結果なのだそう。

 「本人は『相手の悪いところを指摘して成長させてあげている』と思っているのですが、相手が悪いというより、自分がやり残している課題をその相手が刺激しているだけなのです。特に仕事で成功している人の場合、ミッドライフクライシスになる頃には課題が大きくなっているので、なかなか向き合えず、立場の弱い人を執拗に責めてしまう。こうして無自覚にパワハラを行っているケースも多いですね。また、仕事を続けたかった専業主婦の女性が、夫に自分の課題を投影して、相手を責めることで、『自分は問題ない、大丈夫』と思おうとする、というのも、投影の一例と言えますね」

「何かが違う」という思いは、置き去りにしてきた自分からのSOS。その声に耳を塞ぎ、「自分は大丈夫」と思っている人は、実は多いのかもしれません。

年を重ね、経験を積んでいるからこそ、現実に気付いた時の傷は深いもの。けれど、自分と向き合うことは、大切な人たちを守ることでもあるのです。ミッドライフクライシスは、周囲と深く関わっている大人だからこそ、向き合うべき問題だと言えそうです。

この人に聞きました

園田由紀さん
 臨床心理士。東京大学大学院医学系研究科非常勤講師、京都大学大学院医学研究科非常勤講師。心理学を個人や組織の成長に実際に役立てられるよう、有益性が実証されている心理学をベースとした教育プログラムなどを企業や官公庁、医療界など、それぞれにニーズに合わせて提供する株式会社PDS総合研究所の代表取締役社長も勤めている。

(ライター 吉田渓)

[nikkei WOMAN Online 2014年7月21日付記事を基に再構成]

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