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マンガ発映像化 ヒットを最大化する新セオリー

日経エンタテインメント!

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 マンガ原作の実写映画が増え、『るろうに剣心』をはじめ大ヒットが相次いでいる。マンガ原作を出発点に、アニメ化と連動して実写作品を仕掛け、ヒットを最大化する戦略に期待が高まっている。映像界の新たなメガヒットの背景を探った。

『るろうに剣心/京都大火編』『伝説の最期編』が2部作合計で興収90億円を上回り、『ホットロード』『ルパン三世』は24億円(2014年10月時点)。2014年後半、マンガ原作の実写映画化の大ヒットが続いた。

近年、マンガの実写映画化は少なくない。「日本の観客は映画を見る際に損をしたくないので、売れている原作といったよりどころを必要としており、結果、製作サイドもマンガ原作に行きやすい」(日本テレビ映画事業部の佐藤貴博プロデューサー)からだ。

しかし、原作ファンをがっかりさせることも少なくなく、出版社側も慎重な姿勢を見せていた。それがここへ来てなぜ、作品数を増やし、しかも大型ヒットが相次ぐようになったのか。

第1に、「作れる監督がそろった」ことがある。『るろうに剣心』シリーズをプロデュースしたワーナー・ブラザース映画の小岩井宏悦邦画事業部長は、「観客に付加価値を提供できるかどうかが、実写化の成功ポイントの1つ。『るろう』ならすごいアクションですが、それができたのは、大友啓史監督の演出があったから」と言う。

『ALWAYS 三丁目の夕日』『永遠の0』、そして前後編の超大作『寄生獣』を手がけた山崎貴は、所属する映画の企画・制作会社の白組とともに自らVFX(映像の特殊効果)を駆使し、マンガやSFならではの世界観を表現した。プロデューサーから見ても観客から見ても、現在、この手の大作を一番安心して任せられる監督といえるだろう。

そのほか、『神さまの言うとおり』が待機する三池崇史、『海猿』で名をはせ『暗殺教室』に挑戦する羽住英一郎、そして『進撃の巨人』を任された樋口真嗣も、マンガの実写映画化において期待できる監督だ。

実写化の前にアニメ化が勝ちパターンに

第2に出版社側の対応の変化がある。各社とも映像化に積極的に取り組んでおり、「ここ数年、どこもライツ部門を強化して、映像化の許諾が楽になった」とは、複数の映像関係者からの証言だ。

マンガの場合、出版社側がまず重視するのがアニメ化だ。マンガの読者とアニメファンとは世代や嗜好が近いことから、コミックスの売り上げに直結しやすい。また「実写は一般層への波及は絶大だが、出演者の都合に左右されることが大きい。その点アニメなら、制作費さえ集まれば実現しやすく、作家を売り出したい時期など、こちらの戦略に合わせられる」(出版関係者)からだ。

こうして生まれたのが、実写の前に「アニメを挟む」という戦略だ。まずはアニメ化でマンガ読者の延長線にいる若者層へアピール。最終的に実写映画化という「イベント化」で幅広い層へ浸透させる。2014年から15年にかけての大型作品は、この勝ちパターンに乗っている作品がほとんど。2014年11~12月に『寄生獣』『アオハライド』、15年には『暗殺教室』『信長協奏曲』『進撃の巨人』がずらりと並ぶ。

かつてはアニメと実写映画で制作が異なることも多かったが、1社で両方を制作・宣伝できれば効率がいい。こうした体制にいち早く取り組んできた日本テレビに続き、ワーナー・ブラザース映画、東宝といった映画会社、フジテレビもこの体制を模索している。

また、最近増えているのが、少女マンガからの実写化。これは、「パッケージ市場が縮小して製作予算が下がり、予算が少なくて済む少女マンガ作品にスポットが当たっている」(佐藤氏)からだ。このジャンルは5億~10億円がヒットの目安だったが、『僕等がいた』(2012年)が前後編2作で42億円を記録し、流れを変えた。2014年後半だけでも、アニメ化済みの『好きっていいなよ。』や『アオハライド』など5本が公開される。

アニメ化&実写映画化で先陣切る日テレを追う【映像系】

「アニメ化&実写映画化の両輪体制」で一歩先を行くのが、日本テレビだ。2006年、『週刊少年ジャンプ』の『DEATH NOTE』で初めてテレビアニメと実写映画を連動。映画は2部作で、前編28.5億円、後編52億円の大ヒットを記録した。その後も青年誌の『カイジ』、少女マンガの『君に届け』で連動、結果を出している。

日テレの強みは、映画とアニメの制作チームの「横のつながり」だ。

「以前、映画事業部の下に実写映画部門とアニメ部門があったことから、アニメと映画のプロデューサーが一緒に原作権獲得のプレゼンテーションに行くことも多いんです。原作をメディア別に違う会社で切り分けると難しい面が出てきますから、出版社側からすると、1社に権利を預けることで、より効果的な宣伝展開が期待できるのだと思います」(日本テレビ コンテンツ事業部の中谷敏夫プロデューサー)

アニメ&実写映画化のセットは、アニメ&連ドラのそれより原作者側の反応が良いことが多いのだとか。「アニメはイラストなので原作準拠を求めるが、実写は別物」と考える原作者が増えているとは、出版各社の共通した見解。さらに、「映画なら事前に脚本を監修できるが、テレビドラマは脚本の完成がギリギリになるので内容を確認しづらい実情もある」(日テレ佐藤プロデューサー)のがその理由だ。

『寄生獣』では実写映画化を東宝、テレビアニメを日テレが手がけることになった。その背景を佐藤氏は、「10年前、『寄生獣』の実写映画化権を東宝の川村元気プロデューサーと一緒に取りに行ったときの縁から、今回講談社としてはテレビアニメが必要ということで、日テレにお話をいただいた」と語る。テレビならではの電波力で、「原作の世界観をテレビアニメでしっかり描き、若い層へ浸透させた上で実写映画につなげたい」と言う。

また日テレならではの強みが金曜夜の映画枠「金曜ロードSHOW!」だ。新作映画は土曜公開が大半で、その前日に映画と連動した番組を放送できる。『DEATHNOTE』では後編公開直前に前編を放送して興収を一気に伸ばしたほか、『20世紀少年』『GANTZ』では特別番組を放送して公開を盛り上げた。日テレでは2015年度に2~3本のマンガ実写映画化を予定しており、うち1本はアニメ+実写化の連動になるという。

ワーナーもアニメ連動を始動

『るろうに剣心』の成功で一気呵成(かせい)の感があるのが、ワーナー・ブラザース映画だ。洋画メジャーの同社は、『DEATH NOTE』の配給で成果を上げ、以降自社でも『Paradise kiss』(矢沢あい原作、2010年公開)など積極的に邦画制作に取り組んできた。

1990年代に『週刊少年ジャンプ』で連載され、コミックの累計発行部数が5800万部超の大物『るろうに剣心』は、アニメではテレビシリーズや劇場版にもなっているが、実写化はされていなかった。

「過去の人気作で実写化されていない作品の多くは、許諾の問題。『るろう』は、弊社が話に行ったときは、原作者の和月(伸宏)先生が『もう手を離してもいいかな』という時期でした」(ワーナー 小岩井氏)

今回2部作としたのは、作品性と製作面を鑑みた結果。

「原作『京都編』は、1作に収めるには長い内容。かつ、『DEATH~』『僕等がいた』など過去のマンガ原作の2部作は全部当たっています。2部作はイベント感があり、見なきゃいけない雰囲気を作りやすい。また連続公開なら、宣伝費を前編に2本分を投下して大々的に宣伝し、その勢いで後編に行ける。前編がヒットすれば、作品自体が宣伝になるというわけです」(小岩井氏)

ワーナーではこれまでアニメと実写映画化の連動はなかったが、今後はできるよう社内体制を変更。2014年5月からジャパン・コンテンツ事業グループを立ち上げ、その下に邦画事業部と、『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズなど近年アニメ界で評価が高いホームビデオのアニメ部門を連ねる組織にしている。2015年に3本のマンガ実写映画化を製作する予定で(公開は2016年の見込み)、うち1本はアニメとのタッグを計画しているという。

実写とアニメ、両輪を動かし始めた東宝

邦画最大手の東宝は、近年自社制作に力を入れているが、2012年にアニメ事業室を新設。それに合わせてアニメレーベルTOHO animationを立ち上げ、アニメの制作にも本腰を入れ始めている。もとより実写映画には多大な影響力を持つだけに、アニメと実写の両方で制作幹事ができるとなればこれ以上ない武器となるが、2014年12月13日に公開された映画『アオハライド』で早くもそれが実現した。

アニメは2014年7~9月に放送済み。協業するメリットを、映画を担当する東宝映画調整部の臼井央氏はこう語る。「先行していたアニメとタイアップに興味を持った企業の情報などを共有することができ、プロモーションに役立てることができました。また、特典などクリエイティブな面で干渉し合わないのも大きい」。

アニメを担当する同社映像事業部の古澤佳寛氏は、「アニメは配信といったウェブ展開=2次利用など商品の旬が長いので、実写の公開を宣伝にうまく使っていきたい」と、展望を話す。

実写とアニメのプロデューサーが一緒に会議を行い、「アニメ向きか」「実写向きか」「どちらもいけるか」を話し合うなど連携も密。2015年以降、アニメと実写の両方で連動する企画もあり、今後の動きも気になるところだ。

ライツ部門を強化し映像各社へアプローチ【出版社系】

マンガ原作の映像化が途切れない理由のひとつは、版元である出版社が積極的に動いているから。出版社側も、今はどの作品を、どのタイミングでアニメ化や実写化するか戦略を練っており、映像化権を得たいテレビ局や映画会社と利害関係が一致。出版不況といわれるなか、大手各社が新作だけでなく旧作の掘りおこしも含めた映像化に、新たな活路を見いだしているというわけだ。

増え続ける映像化に合わせて、どの出版社も急ピッチで進めているのが、作品やキャラクターの2次使用に関わる著作権を管理するライツ部門の強化だ。

講談社では、7年前にライツ部門を立ち上げた当初は5、6人だったが、今では30人の大所帯に。2011年ごろからは特にアニメ化に力を入れており、「ビデオメーカー、制作会社、キャスト等までマーケティングして働きかけます。ライツ部門はアニメのプロデュース会社になっています」と、同社ライツ企画部長の松下卓也氏。

また、集英社は13年前にライツ部門を立ち上げ、それまで少なかった実写化のタイトルを増やしていったという。ライツ部門には、長くマンガ雑誌で編集として作品を担当し、その現場で映像化に携わった人が多く配属されているのが特徴だ。

最近では、単行本にOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)を付けた限定版を発売したり、映像化に出資したりするケースもあり、出版社による映像ビジネスは、今後さらに多様化していきそうだ。

(ライター 相良智弘、山内涼子、日経エンタテインメント! 平島綾子)

[日経エンタテインメント! 2014年12月号の記事を基に再構成]

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