ヘルスUP

日経Gooday 30+

がんの告知と「魔の2週間」 日ごろ冷静な人も別人に

2014/12/1

 告知の直後は、衝撃を受け、絶望したり、怒り出したり、がんであるはずがないと否認したり。その後は、不安、不眠、食欲不振など日常生活に支障をきたす症状に多くの人が悩まされることになります。私はこの期間を“魔の2週間”と呼んでいます。程度の差こそあれ、がんの告知を受けてから適応するまでにはそのくらいの時間がかかるものなのです。

■「生きるか、死ぬか」の二択に目を向けない

 ご家族には、「患者さんはものすごくわがままになります」と説明し、理解してもらえるように努めます。ですが、看病に疲れたパートナーに「おまえは俺が死ねばいいと思っているんだろう?」という投げやりな言葉をぶつけたりするのですから、ご家族はどれだけ苦しいことか。残念なことに、がんをきっかけに離婚をしたり、ご家族の絆が切れてしまったりするのは、場合によっては無理もないことなのかもしれません。

 ですがその一方で、がんになったからこそ、それまで以上に支え合って生きていく見事なご夫婦を今までたくさん見てきましたし、闘病を通して家族の絆が強くなることもあります。

 がんになるということは、本人にとってはもちろん、家族にとっても大変な災難です。ですから、今あるこの状況の中で、精神的にも肉体的にも最も軽いダメージで済ませるにはどうしたらよいかを考えていただきたいと思うのです。とにかく頭を切り替えて、「生きるか、死ぬか」といった二択の結論から目をそらすことが大切。日々の仕事や生活、自分の生きがいなどに集中したり、没頭したりするのでもいい。

 少し不適切なたとえになるかもしれませんが、がんは交通事故や血管アクシデント(心筋梗塞、脳梗塞など)で突然死んでしまうことに比べれば、期限付きではあっても、というより、期限付きであるからこそ、残された時間を充実させる道が残されています。

 「自分の命を後悔なくまっとうしてほしい」

 どんなケースのがんであっても、私はこう祈るような思いで、日々患者さんやご家族に向き合っています。

(まとめ:平林理恵=ライター)

Profile 森山紀之(もりやま のりゆき)
東京ミッドタウンクリニック健診センター長、常務理事
1947年、和歌山県生まれ。千葉大学医学部卒。76年に国立がんセンター放射線診断部に入局。同センターのがん予防・検診研究センター長を経て、現職。ヘリカルスキャンX線CT装置の開発に携わり、早期がんの発見に貢献。2005年に高松宮妃癌研究基金学術賞、07年に朝日がん大賞を受賞。主な著書に「がんはどこまで治せるか」(徳間書店)。

ヘルスUP新着記事

ALL CHANNEL