仕事は免罪符? 週末ぐらいゆっくりしたいけど…
休日出勤も悪くない
「今週末は休めそう? 紅葉が見ごろらしいわよ」。金曜の夜に帰宅すると、妻が笑顔を向けてきた。「ごめん、仕事があって」と顔の前で手を合わせ、頭を下げる。とたんに妻の表情に失望の色が浮かぶ。「ほんとに忙しいの? きょうも飲んで帰ってきたじゃない」と疑わしげな目を向けてきた。
週末くらい休みたいのはこっちも同じだ。けれど仕事のスケジュールは自分だけでは決められない。「週明けでいいから」と上司に仕事を振られたのは金曜の夕方で、飲んだのは得意先の接待だったから。家族のために一生懸命働いているのに、どうして理解されないのだろう。
もっとも休日出勤が嫌いなわけではない。平日と違ってカジュアルな格好で構わないし、電話もまず掛かってこないから静かな職場で仕事に集中できる。出勤前に喫茶店でコーヒーをすすったり、本屋で文庫本を物色したりと、ほんのひととき、自由な時間を持てるのも悪くない。
今週末はどうしようかななどと考えていると、妻は「仕事だと言えば済むと思って」と捨てゼリフを残し、寝室へ消えた。おっと、いけない。表情に出てしまったかな。来週こそ休めるように上司に相談してみようか。
私だって忙しいのに
共働きの我が家。月末になると翌月の週末に仕事があるかどうか、互いの予定を開示して話し合う。土日は保育園が休みのため、子どもの世話をどちらがするか決める必要があるからだ。
話し合いと言えば聞こえがいいが、実態は単なる「忙しさ自慢」に成り下がっている。「俺は大事な仕事を抱えているから、この週末は出社しないと」「私だってこの週末に働かないと間に合わない」。負ければ子どもの世話を担当するだけにアピールにも熱が入る。
残念ながら、先週末は夫が勝った。申し訳なさそうな顔をしながらも、さっさと出勤する夫。こちらは公園で子どもと鬼ごっこだ。くたくたで倒れてしまいそう。
平日、夫の帰宅は遅く、深夜に及ぶこともしばしばだ。保育園の送り迎え、ご飯づくり、お風呂、寝かしつけ……。育児の大半を私が担っている。せめて週末くらい、仕事より子育てをしてほしい。
週末の公園はイクメン風の男性だらけ。子どもとサッカーに興じる若いパパを見て「あんな人が夫だったら幸せだろうなあ」と妄想してしまう。その瞬間、雑音が耳に入った。「ママ、何見てるの?」。息子よ、父ちゃんに告げ口したら許さないからね。
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