小島慶子「勉強しないとああなるわよ」は最低だ

日経DUAL

これから子どもの受験の追い込みだという家庭も多いはず。父さんと母さんは努力して学校を出て会社に入り、頑張って働いている。だから君も頑張っていい学校に入り、いい会社に入って、特別な人におなりよ。ごらん、世の中にはそういう努力をしなかったから負け組になっている人がいっぱいだ。君はあっちじゃなく、こっちの住人でいなくちゃいけないよ……。

「唯一の正解」よりも「価値を問う力」を

人一倍の努力と実績を誇りに思う人ほど、我が子にそう言い聞かせるのだろう。でも、子どもが大人になってから生きる時代をまだ誰も見ていない。子どもの未来にはいいときばかりではないだろう。そのとき「こっちの世界」なんてもうないかもしれないのに、無責任な将来保証をして一度きりの子ども時代を受験勉強に明け暮れさせるのが、本当に強い人間を作ることなのだろうか。受験自体が悪いのではない。ただ、もう一度考えてみよう。人生に必要なのは唯一の正解ではなく、自分にとって何が価値あるものかを問う力だ。

ある消防士さんにこんな話を聞いた。高い使命感を持って命がけで仕事をしていても、「税金を払ってやっているのだから感謝しろ」「消防士にしかなれなかったような者が」と言われ、緊急車両を便利屋のように呼びつけようとする電話が絶えない現実を前に、若い消防士たちが次第に目標を見失っていくのだと。

絶望と虚無を抱えた消防士に守られる社会をあなたは生きたいだろうか。しかしそうして彼らを使用人扱いする心ない人たちが火災に巻き込まれたら、それでも彼らは危険を冒して助けにいくのだ。あなたにはできるか? 税金もらって働いているなら当たり前か?

西オーストラリアには、地球上で数カ所しか残ってないストロマトライト(バクテリアの集合体)が見られる場所があります。これはパースから車で3時間ほどのテティス湖という塩湖。丸い山みたいなのはストロマトライトとかトロンボライトというもの。シアノバクテリアが堆積した集合体です。まだ大気中に酸素がなかったころ、このバクテリアたちが地道に酸素を作り出し、大気を作ったのだとか。息子らと「みなさんのおかげです。ありがとうございます」とお礼を言ってきました
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清掃の仕事について、あなたは子どもに何を話す?