デビュー2年で武道館 女子アイドル業界、異変あり日経エンタテインメント!

「BABYMETAL」 重低音と様式美に潜ませた刹那感というアイドル性

BABYMETALがブレークしたのは、メタルファンをはじめとした音楽ファンをうまく取り込んだことが要因のひとつだ。衣装やステージはもちろん、バックバンドにもマーティ・フリードマンのサポートメンバーなどを務める大村孝佳ほか、ロック色あふれるミュージシャンを起用することで、強い音楽性を打ち出した。

ライブを重ねるごとに、スタンディングエリアでは、サークルモッシュやウォール・オブ・デス(観客同士が体をぶつけ合う行為)が発生。徐々に激しさを増す中で、ほかのアイドルとの差別化が際立っていった。

BABYMETAL(ベビーメタル)。2010年結成。2013年1月に『イジメ、ダメ、ゼッタイ』でメジャーデビュー。メンバーは写真左から、YUIMETAL、SU-METAL、MOAMETAL。DVD『LIVE~LEGEND 1999&1997 APOCALYPSE』発売中。2015年1月10日にはさいたまスーパーアリーナで『BABYMETAL LEGEND“2015”~新春キツネ祭り~』を開催

日本での盛り上がりとほぼ同時に、海外で人気に火がついたことも特徴。いわば海外から「逆輸入」ともいうべきブレイクを果たした。

起爆剤となったのは、YouTubeの公式チャンネルに2014年2月にアップされた『ギミチョコ!!』のミュージックビデオ。視聴回数は、公開からわずか1カ月半ほどで600万回を達成。のちの海外フェス出演をきっかけに、さらに勢いは加速した。

メタルサウンドは、日本ではニッチなイメージもあるが、長い伝統を持つ「世界共通言語」でもある。メタルの持つ音楽性を緻密に踏襲したことが、海外のファン層の広がりにつながった形だ。

アイドル性の面で注目したいのが、彼女たちの持つ刹那感だ。もともと中学校卒業と同時にグループを離れるさくら学院のユニットのため、ボーカルのSU‐METALが卒業を迎えた際には、期限付きでの活動継続が発表されたことにファンは安堵した。

絶妙なバランス感

また、BABYMETALの魅力に、メンバー同士の絶妙なバランス感がある。ただメンバーの成長により、これが変化していくのは避けられない事実。今しか見られない美しさというアイドル特有のはかなさをBABYMETALは特に感じさせる。

現在のアイドルシーンでは、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを活用した情報発信や握手会などのイベントが主流の中、BABYMETALはファンに素顔をできる限り見せない手法が徹底されている。ライブではMC(曲と曲の合間などに入れる、司会進行のトーク)を挟まず、握手会も行わない。

ライブの幕あいや終演後に公開される、映像やナレーションから間接的に先の展開が知らされる中、ともすれば明日にも終わるかもしれない不安を抱えたファンは、緊張と緩和を繰り返す。かつてみられた神秘性のあるアイドル像を踏襲しているともいえ、中毒性をもたらす重要な要素となっている。

(ライター さやわか、カネコシュウヘイ、日経エンタテインメント! 上原太郎)

[日経エンタテインメント! 2014年12月号の記事を基に再構成]

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編集:日経エンタテインメント!
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