旬のフルーツ「ザクロ」、新たに老化を防ぐ作用
糖化とは、糖がたんぱく質やアミノ酸と結合すること。例えば糖尿病の指標であるHbA1cは、血中で糖と結合した「糖化ヘモグロビンたんぱく」を指す。糖化が進み、組織内に糖化最終生成物(AGEs)と呼ばれる物質が蓄積すると、皮膚や血管の弾力が低下したり、肌がくすむ。臓器障害につながることもある。そのため、糖化を防ぐ成分の探求が進められている。
そうしたなか、ザクロエキスに糖化によるAGEsの蓄積を防ぐ働きがあることが分かってきた。食品の機能性成分に詳しい岡山県立大学の伊東秀之教授は、「その働きはAGEs生成を抑制する医薬品成分よりも強い。さらに非常に低濃度でも効果を発揮する点も興味深い」と語る。
・肌、血管の老化抑制
・糖尿病のリスク低減
・血圧の低下
・骨と関節の健康維持など
同志社大学大学院生命医科学研究科の糖化ストレス研究センターが、閉経後女性10人を対象に行った試験では、糖分を除いたザクロ抽出物を1日100ミリグラム、12週間とり続けることで皮膚でのAGEs蓄積量が変化せず、血中HbA1c値の低下が見られたという(図1)。
ザクロには、ポリフェノールの一種、エラジタンニンやエラグ酸という成分が多く含まれており、これまではエラグ酸の機能性が注目されてきた。だが、「糖化にはエラジタンニンが効いていると考えられる」と伊東教授。
エラジタンニンには複数結合(重合)したものがあり、その重合度が大きいほど活性が高いと期待される。「研究により、ザクロにはエラジタンニンが2つ以上重合したものが存在し、重合度が3つ、4つと大きくなるほど、抗糖化活性が高かった」と伊東教授は話す。
ザクロには、抗酸化作用、抗炎症作用に関する研究報告も多い。1年以上ザクロジュースをのみ続けていると、LDLの酸化が抑えられ、血圧の低下や動脈硬化の抑制、心疾患リスクの低下といった効果も。また、閉経による骨粗しょう症のリスクを低減させ、変形性関節炎の炎症を抑えるという報告もある。
秋はザクロの季節。アンチエイジングを目指すなら、ザクロもぜひお試しを。
この人に聞きました
岡山県立大学保健福祉学部栄養学科教授。岡山大学大学院薬学研究科修士課程修了。食品メーカー研究員などを経て、2013年より現職。ポリフェノールなど、食品素材に含まれる機能性成分の構造研究、生体利用性などの探求が専門。
(ライター 堀田恵美)
[日経ヘルス2014年12月号の記事を基に再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。