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JR東日本、女性の職域拡大で鉄道の「安心」強化

トライ&エラー 鉄道文化に変革も

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NIKKEI STYLE

 「鉄道の現場は厳しいんじゃないか」。東日本旅客鉄道(JR東日本)で働く女性たちは、かつてベテラン男性社員からそう言われてきた。早朝から深夜におよぶ勤務、事故や悪天候への対応、乗客の応対――。そんな「男の職場」で女性の活躍が広がり、顧客志向が進んでいる。

「上司を出せと言われたというので出ていったら、『女が上司なのか』と驚かれました」

前田美也子さん(42)は2014年6月にJR山手線の目白駅(東京・豊島)の駅長に就いた。駅長は収入目標達成から社員の育成まで担う重責だ。それでも「女性であることは意識していません。年上の部下にもハッキリものを言い、若手の話はできるだけ聞くようにしています」と笑う。

1993年に入社。以来10年以上、新宿、東京など駅で旅行商品を扱う「びゅうプラザ」で働いたが入社時からあこがれは駅長。「地域から愛される駅を作りたかった」。本社の営業企画部門を経て男性だらけの鉄道畑へ挑戦した。

勤務体制は男性と同じ。駅長は原則夜勤はないが、悪天候時は自主的に駅に泊まって備える。「台風時には終電を見届けて駅長室のソファで2時間仮眠。始発の準備にあたった」。事故の対応、酔客が汚した構内の掃除なども必要な任務だ。

女性として親近感と安心感を与えられるのが強みだ。「おはようございます」「お帰りなさい」と朝夕、改札で声をかける。地元の町内会会長から誘いを受け、目白駅130周年となる来年には地元のイベントに駅も協力する。「地域の顔である駅を任されて重責だが、やりがいは大きい」

JR東日本の女性活躍推進の起点は、2004年4月に始めた「Fプログラム」だ。Female(女性)、Family(家族)の頭文字に、女性の活躍推進、家庭との両立などの目的を込めた。だが真の狙いは旧国鉄時代から脈々と続いてきた男性主体で職人気質の企業体質の変革だ。民間として成長するには顧客サービスや安心感の向上は死活問題。女性の活躍でそれを目指した。

新卒採用の女性比率20%以上を目標に定め、車掌、運転士などにも活躍の場を広げる職域拡大も打ち出した。育休期間の延長や経費補助などに加えて、深夜・早朝勤務に対応して新宿駅に24時間保育が可能な施設を設けるなど約80カ所に保育施設を設置、課題をひとつひとつクリアしてきた。

運転士が子育てをしながら働けるように、短時間行路をダイヤに組み込んだ。短時間行路設定は、ピーク時の朝夕に働ける運転士が減り、他の運転士の負荷は大きくなる。それでも、当時社長だった清野智会長が「越えなければならない壁だ」として断行した。

この結果、女性社員比率は3.3%(04年度)から8.6%(13年度)に拡大した。今や山手線の車掌の4割は女性で、駅長も9人になった。

JR東日本は1987年の民営化後、89年には女性総合職の本格採用を始めるなど女性採用を積極化してきた。ただ、その大半はびゅうプラザなどへ配属され、活躍の場は限られた。99年の改正労働基準法の施行で女性の時間外・休日労働、深夜業の規制が撤廃されたことが職域拡大を後押しし、Fプログラムを導入して女性の活躍を推進してきたが、現場では戸惑いも多かったという。

仙台運輸区で2009年9月から約3年間、運転士として勤務した野沢浩子さん(32)は「覚悟がないとできないぞ、と言われた」と当時を振り返る。天候の急変で「何もない田んぼの真ん中で、夜中に1人で車両に残ったこともあった」。それでも女性用の宿泊施設が順次設置され、勤務可能な路線が増えていった。

11年2月から約1年間、産育休を取得して、運転士に復職した。運転士は毎月のように改正される乗務員指導基準を学ぶ必要があり、復帰直後は最新の知識を身につけるのに苦労したという。産育休取得に職場の理解はあったが「子どもが急に熱を出した時は有給休暇を取ったが、最初は取りにくい雰囲気もあった」と話す。

現場での戸惑いに加えて、社内には「女性だけを優遇するのか」「単なる育児支援でよいのか」などの声も上がった。このため、09年にはFプロを「ワーク・ライフ・プログラム(ワラプロ)」と改称、活動の対象を女性だけなく全社員に拡大した。男性の育児、親の介護と仕事の両立など各支社でワラプロ委員会を立ち上げて、取り組んでいる。

仙台運輸区では月に2回程度、男女社員が集まりワラプロ委員会を開催している。仙台運輸区助役の小林美奈子さん(47)は「女性の働き方や、男女ともに働きやすい職場づくり、介護など、テーマは幅広い」と話す。

今年8月に育休中の家族を含めたファミリーデーを実施。車両センターを家族で訪問するなど若手社員からベテラン社員までの親睦を深めた。育児のために休みを取る男性社員が増え、社内でも「今日はワラプロの会議か」と言われるまで認知が広がっているという。

01年からJR東日本フロンティアサービス研究所長として女性活躍推進に取り組んだ経験を持つ江上節子武蔵大学教授は「最初は社内に戸惑いもあったが、研修や教育、昇進についての試験制度の整備など、遠大な計画で人材育成を進めてきた。巨大な組織だが、経営者の強い意志のもと、地道な取り組みが結実しつつある」と話す。

(片野哲也)

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