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小・中学生の自殺、原因の1位は「学業不振」

2014/12/2

■男子、女子の自殺原因には違いがある

 性別の違いも見ておきましょう。小・中・高校生で見ると、最近3年間の自殺原因の延べ数は、男子は551、女子は339です。各原因が全数に占める割合を出し、グラフにしてみました。横軸に男子、縦軸に女子の数値を取った座標上に、それぞれを位置付けた図3です。

 斜線は均等線であり、これよりも下にあるのは「男子>女子」、上にあるのはその逆を意味します。どうやら男子型と女子型の原因があるようで、男子では学業や進路など「将来展望」に関わるものが多く、女子では家族関係や友人関係など「対人関係」に関連する原因が目立っています。なるほど、肌感覚に照らしてもうなずけるデータです。

 子どもの自殺率は最近上昇の傾向にあること、自殺原因(動機)として何が多いかをデータでみてきました。個々の動機は実に様々ですが、それらの下にある共通の地盤、すなわち今の子どもの「生きづらさ」をもたらす現代的状況とはどういうものでしょう。一言でいうなら、「逃げ場がない」ことだと思います。

 私が前に教えた学生さんで、高等学校卒業程度認定試験(昔でいう大検)を経由して入ってきた子がいました。高校で手ひどいいじめを受け、1年の冬で中退。その後は、予備校のネット授業で独学し、上記の試験に合格したのだそうです。幸い、親がこういう道を快く許してくれたからよかったが、そうでなかったら「本当に死んでいたかもしれない」と語っています。

■インターネットの活用で、教育はどう変わる?

 小・中・高の12年間の学校生活を振り返ってみていかがでしょう。朝から夕方まで教室という四角い空間に閉じ込められ、気の合わない人間と同居し続けなければならない。反りの合わない他者とうまくやっていくすべを学ぶのも、学校の重要な教育機能ですが、いじめという犯罪行為を受けてまで、そこに居続けることを強いられることはないでしょう。

 最近は義務教育段階でも、学校外の教育施設での学習、ないしはITを活用した自宅学習を出席扱い(条件付き)にしてくれるなど、柔軟な措置が取られるようになっています。わが子が「学校に行きたくない」と口にしたとき、事情を十分に吟味のうえ、必要とあらば上記のようなオルタナティヴな選択肢を積極的に活用すべきかと思います。

 1970年代、イヴァン・イリイチという学者は『脱学校の社会』という著作において、「情報化が進んだ社会では学校の領分は縮小し、代わって人々の自発的な学習ネットワークが台頭するであろう」と予言しました。21世紀の日本は、まぎれもなく情報化が進んだ社会です。新たな知識はインターネットからも享受できます。これから先、学校だけが教育の場であり続けることはできなくなるでしょう。まさに現在は時代の過渡期なわけですが、こうした時期に子どもの自殺が多発することは、図1でも見た通りです。その意味で、近年の子どもの自殺増加は、過渡期の反映とも考えられます。

舞田敏彦さん
 1976年生まれ。東京学芸大学大学院博士課程修了。博士(教育学)。武蔵野大学、杏林大学兼任講師。専攻は教育社会学、社会病理学、社会統計学。著書に『教育の使命と実態』(武蔵野大学出版会)、『教職教養らくらくマスター』(実務教育出版)など。

[日経DUAL2014年11月6日付けの掲載記事を基に再構成]

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