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インド式教育 3ケタかけ算、日本にも必要 桜美林大学教授 芳沢光雄

2014/11/25

IT業界における世界的な人材の供給源になっているインド。背景にあるのが、独特の算数・数学教育だ。どのように教えているのか、日本でも関心を寄せる人が多い。日本経済新聞 電子版に今年夏以降掲載されたインドの教育に関する2つの記事を題材に、日本の小学校での算数の教え方などについて考えてみたい。

■インド人学校で「小2で3ケタ同士のかけ算」

まず、取り上げるのが、10月17日公開の記事「日本でインド式教育 IT立国支える理数脳づくり」である。東京都江戸川区にあるインド人学校で「小2で3ケタ同士のかけ算」を教えているという。この3ケタ同士のかけ算が小学校の教育において重要な意味を持つ。

日本の小学校では、「3ケタ×3ケタ」の3ケタ同士のかけ算は教えていない。現在の指導要領では「3ケタ×2ケタ」までは教えることになっているが、少し前の「ゆとり教育」(2002~08年度ごろ)では2ケタ同士のかけ算で終わっていた。

2ケタ同士のかけ算と3ケタ同士のかけ算――。一般の方にはあまり変わらないように思えるかもしれないが、算数の教育においては決定的な違いがある。その理由を述べよう。

2ケタや3ケタのかけ算はドミノ倒しに例えることができる。ドミノの駒はかける数やかけられる数を表す。図の左のドミノの駒2個だけでは倒すものと倒されるものだけの関係であるが、3個になると真ん中のものは倒されると同時に倒す働きをもつ。それを理解することによって、ドミノ倒しは次々と続くことが分かる。

縦書きかけ算(筆算)の理解でも、ドミノ倒しと同じことがいえる。

この計算では、2ケタ同士のかけ算では最初に6×9=54を行い、その十の位の5を、次に行う7×9=63に加える。ここでは「5を渡すこと」と「5をもらって加えること」は、それぞれ2個のドミノ倒しで「倒すもの」と「倒されるもの」に相当している。

ところが3ケタ同士のかけ算では、最初に3×8=24を行い、その十の位の2を、次に行う9×8=72に加えて74となり、さらにその百の位の7を、次に行う4×8=32に加える。要するに、9×8のところでは、「2をもらって加えること」と、「7を渡すこと」の2つの作業をしていて、それは3個のドミノ倒しで「倒されると同時に倒す真ん中のもの」に相当している。

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