緊張すると下痢、食べ過ぎや水分のとり過ぎも原因
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おなかが冷えたり、緊張したりすると急に下痢してしまいます。止める方法はありますか?(29歳・保険・事務)
体が冷えて、お腹をこわしてしまった経験のある人は少なくないはず。これは、急激な温度変化によって自律神経のバランスが乱れ、腸内環境が悪くなって、悪玉菌が増えるため。実は、緊張による下痢も同じ仕組み。いずれも自律神経の乱れが原因です。腸の働きは自律神経が支配していますから、すぐに影響が出てしまうんです。
もし、大事なプレゼンや試験の前に緊張し、下痢が心配な場合には、あらかじめ薬局で下痢止めを買って飲んでおくのがいいでしょう。
下痢しやすいときは、日頃の疲れやストレスがたまり、自律神経が乱れやすくなっているサインでもあります。体を温めてリラックスしたり、よく睡眠をとったりして心身を休めるようにしてください。
そのほか、食べ過ぎや水分のとり過ぎで、消化吸収力が低下し急な下痢を起こすこともあります。また、軽い脱水症状の場合も自律神経が乱れて下痢をしやすくなりますから、水分はとりすぎてもとらなさすぎても腸にとってはよくありません。1日1.5リットルを目安にしましょう。
さらに、急な下痢の原因として、食中毒があげられます。食品に含まれた病原菌が消化器官内で増殖し、腸を刺激して下痢を引き起こすもの。暑い時期は、特に手洗いやうがいを徹底してください。嘔吐(おうと)を伴うひどい下痢の場合は病院に行きましょう。
また、牛乳などいつも同じ食品でお腹をこわしてしまう人は、アレルギーの可能性が高いので、病院で検査をして、症状が出る食べ物を控えて。
下痢を防ぐためには、日頃から腸の善玉菌を増やし、腸内環境を整えておくことが大切です。善玉菌は、野菜や海藻類などをとることによって増えます。毎食、食物繊維をとることを心掛けてください。
通常の下痢は、ストレスや暴飲暴食などが原因で一時的に腸内環境が悪化して起こるもの。ただ、O-157などの感染症が原因のものや、潰瘍性(かいようせい)大腸炎などの病気が原因で長期的に続く場合も。3日以上続く、血便が出る、熱が下がらないなどの症状があるときは、必ず内科や消化器外科などを受診すること。
この人に聞きました
順天堂大学医学部教授。60年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科博士課程修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などを経て06年より現職。『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)ほか著書多数。
(日経WOMAN 福島哉香)
[日経WOMAN2013年10月号の記事を基に再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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