腰痛治すのは、好きな音楽と香り 最新研究で判明

日経ヘルス

体の不調として悩む人が少なくない「腰痛」だが、骨や椎間板などの形態とはあまり関係のない「非特異的腰痛」が多いことが分かっている。心身のストレスが深く関わるため、心と体の両方に働きかける対策が効く。前回に続いて、最新研究データをもとに今すぐ実践できる方法をご紹介しよう。

痛みがあっても、できる運動を

腰痛ケアの基本は、痛くてもできることを進んでやることだ。

「痛みを完全にとろうとこだわるのは、とらわれを生むので逆効果。むしろ、痛くても動けることを目標にすることで、結果的にすごく楽になったという患者がたくさんいる。痛いから、あれもできない、これもできないと行動を変化させるのが一番良くない」と愛知医科大学医学部の牛田享宏教授は話す。

医療機関での治療は通常、炎症を鎮めて痛みを緩和する鎮痛消炎剤などによる保存的治療が主体だ。そのため、低下した心身の機能を元に戻すには、セルフケアが重要になってくる。

セルフケアの柱は大きく2つ。運動で活動性を維持することと、脳の活性化だ。どちらも気分と痛みの両方を改善する。

特に運動は慢性腰痛の緩和効果が高く、世界的に推奨されている。たとえばストレッチ。腰の緊張を緩和するマッケンジー法やスランプストレッチが腰痛に効くことが確かめられている(図1、図2)。自宅でストレッチを繰り返し行うと、痛みに対する不安が急速に低下するのも特筆すべき点だ。

図1 腰痛がある134人を、徒手療法群、マッケンジー法の背部ストレッチ群、活動を維持するようアドバイスを受ける対照群という3つに分け、それぞれ平均6回指導。6カ月後、マッケンジー法群は痛みが最も低下。12カ月後も徒手療法群と同等の効果を維持した。(データ:J Rehabil Med;40,858-863,2008)
図2 慢性腰痛がある60人(18~60歳)を理学療法を受ける群と、脚を伸ばして床に座り両足を壁につけて上体を倒すスランプストレッチを自宅で行う群に分け、効果を比較。痛みレベルを10段階で自己評価した結果、ストレッチ群のほうが改善速度が速かった。(データ:J Man Manip Ther;20,1,35-42,2012)

「マッケンジー法に基づく“これだけ体操”は、前かがみの姿勢や反り腰が続いたとき、こまめに行うと、腰痛の予防効果も期待できる」と整形外科医の松平浩さん。

一方、ウオーキングや自転車こぎなどの有酸素運動は、脳のセロトニン分泌を促す作用で、鎮痛効果を発揮するとともに、うつ気分も和らげる。

同様の効果はヨガにもある。ポーズと呼吸に集中することで、痛みに対する注意がそれ、雑念を払えるからだ。

慢性腰痛の人を、ヨガ教室に通う群と、ストレッチ群、本を読むだけの対照群に分けて効果を調べた研究で、ヨガはストレッチと同等の鎮痛効果があったと報告されている(図3)。

図3 慢性腰痛がある228人を、17のポーズからなるヴィニヨガ教室受講群、ストレッチ教室群、セルフケア本で学ぶ対照群の3つに分け、12週間継続。結果、腰痛による生活障害度はヨガ群、ストレッチ群ともに低下。効果は26週間後も持続した。(データ:Arch Intern Med;171,22,2019-2026,2011)
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