体の不調として悩む人が少なくない「腰痛」だが、骨や椎間板などの形態とはあまり関係のない「非特異的腰痛」が多いことが分かっている。心身のストレスが深く関わるため、心と体の両方に働きかける対策が効く。2回に分けて、最新研究データをもとに今すぐ実践できる方法をご紹介しよう。
痛みへの不安による“安静”が慢性化招く

突然腰が痛む“ぎっくり腰”が起きたり、痛みが長引いたりすると、腰椎椎間板ヘルニアなどが心配になるかもしれない。しかし、「画像上の変化があっても痛くない人のほうが多い」と愛知医科大学学際的痛みセンター長の牛田享宏教授は話す。
実際、スイスで行われた研究では、痛みのない人の中にも椎間板のヘルニアがあり、ほぼ同じ条件で腰痛がある人は、ない人より、うつ、不安などを伴う割合が高かった。
そこで今、腰痛を引き起こす因子として注目されているのが心理社会的要因、すなわち心身のストレスだ。「腰痛の多くが心理社会的な要因から引き起こされる痛みであることは古くから知られている。若い世代ほどこれが大きいのは間違いない」と牛田教授。
実際、日本人836人を2年間追跡し、腰痛の発症要因を調べた研究では、(1)過去の腰痛歴(2)頻繁な持ち上げ動作(3)職場の対人関係──という3つのリスク因子が浮上した。
研究を行った東京大学医学部附属病院22世紀医療センター特任准教授の松平浩医師は「介護職や看護師など腰に負担のかかる仕事はそれ自体がリスクになる。デスクワーカーは猫背などの不良姿勢をとり続ける身体的負荷に加え、仕事に追われる状況や、上司との関係などのストレスも筋緊張を強めている可能性がある」と話す。
■腰痛には2つの原因がありました
「体」 負担のかかる動作の繰り返しで疲労が蓄積
持ち上げ動作や不良姿勢の持続などで、体に過度の負担がかかると腰痛が出やすくなる。腰痛持ちの家族がいるとなりやすいことから、遺伝的な“体質”も影響するようだ。
「心」 ストレスによる緊張と不安が痛みのもと
対人関係ストレスなどが強いと交感神経優位の状態が続き、筋肉が緊張して腰痛が出やすくなる。ストレス状態に、痛みに対する不安が加わると、治りにくくなり、慢性化を招く。
「体」 負担のかかる動作の繰り返しで疲労が蓄積
持ち上げ動作や不良姿勢の持続などで、体に過度の負担がかかると腰痛が出やすくなる。腰痛持ちの家族がいるとなりやすいことから、遺伝的な“体質”も影響するようだ。
「心」 ストレスによる緊張と不安が痛みのもと
対人関係ストレスなどが強いと交感神経優位の状態が続き、筋肉が緊張して腰痛が出やすくなる。ストレス状態に、痛みに対する不安が加わると、治りにくくなり、慢性化を招く。