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ネット配信、黒字化の先へ 「放送外」に走るテレビ局

日経エンタテインメント!

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 この2年は続けて増加したものの、以前の高水準までは戻らないテレビ広告費。その間、各局は映画やイベントなど「放送外収入」の確保にますます力を入れている。最近、特に積極的な動きが目立つのが、定額制および無料の「動画配信サービス」と「ベンチャーキャピタル」。どんなビジネス展開を描くのか。戦略を探った。

テレビ広告費は2012年度、2013年度と2年連続で増加。2014年度第1四半期も在京キー局5局はいずれも前年を上回り、好調さを維持している。だが、2兆円を超えていた2006年度以前の水準には至らない(図1)。この間、各局が強化してきたのが、広告以外の「放送外収入」だ。フジテレビを例にとると、この比率は徐々に上がり2013年で4分の1強となる(図2)。

例えば映画事業。2013年の邦画実写作品の興行収入は、『真夏の方程式』(33.1億円)など、フジが製作に関わった作品が上位3作を独占した。フジのお台場新大陸、日本テレビの汐博など、テレビ局の夏休みイベントはすっかり定着。海外への番組販売では、米国で『ドラえもん』(テレビ朝日)の放送が始まり、大きな話題となった。

多様化する放送外事業で、近年、各局とも力を入れるのがネットを使った動画配信だ。これまでは1作ごとに視聴料金を払う都度課金が中心だったが、この1~2年ほどで黒字化を果たす局が増加。次のサービスとして、「定額制」や「広告付き無料」配信を模索する動きが活発化している。

日本民間放送連盟の井上弘会長(TBSホールディングス会長)は、2014年9月18日の定例会見で、在京キー局5局共同で、無料の見逃し配信サービスを来年度にも試験的に始める方向で検討していることを明らかにした。

都度課金、定額制に加え広告付き無料動画も視野に

いち早く定額制に舵(かじ)を切ったのが日本テレビだ。米国大手Hulu(フール―)の日本事業を買収し、2014年4月から運営している。映画や海外ドラマなど、約1万5000本ある作品が月額933円(税別)で見放題。すでに都度課金型の日テレオンデマンドを運営していたが、いずれ定額制サービスの時代が来ると模索していたときに出合ったのがHuluだった。「YouTubeやiTunesなど、ネットでは様々なプラットフォームをほとんど外資が握っている。日テレブランドではないHuluなら、この分野のプラットフォームになりうると考えた」(日本テレビインターネット事業局長でHulu日本法人会長の於保浩之氏)。実際に、今はNHK、TBS、テレビ東京などが番組を提供している。

当面はこの定額制と都度課金サービスを並立させながら、広告付き無料配信の可能性も探っていく。

多角的な展開をするのはフジテレビ。地上波のドラマやバラエティーなどを放送後1週間以内に提供する見逃し配信、厳選した作品のアーカイブ配信を柱にしたフジテレビオンデマンドは、2010年度から黒字化を達成している。次のキーワードは「スマホ」と「無料」だ。

有料サービスではCS放送のフジテレビNEXTライブ・プレミアムをインターネット経由で同時配信、スマートフォン(スマホ)などで楽しめる「フジテレビNEXTsmart」をスタート。衛星と同じ月額1200円(税別)で視聴できる。

無料の動画配信では、オリジナル作品に力を入れる。まず、10分程度の作品を提供する「フジテレビ+(プラス)」を2014年1月に開設。大久保佳代子司会の対談番組や鶴田真由主演ドラマなどを配信している。

2014年7月には食と旅をテーマにした数分の動画をYouTubeを通じて毎日配信する「ビデリシャス」を立ち上げた。専門性に特化した短い動画で、スマホ世代の若者層をターゲットにしている。「現在、フジテレビオンデマンドではスマートフォンでの視聴がパソコンの2倍以上になった。そうしたニーズに応えるサービスが必要」と、フジテレビコンテンツ事業センター室長の冨川八峰氏は話す。

もうひとつ、複数の局で相次ぐ動きにベンチャーキャピタルへの参入がある。2013年1月、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスは投資会社フジ・スタートアップ・ベンチャーズを設立。既に、IT(情報技術)系企業を中心に12社に投資をしている。2013年8月にはTBSイノベーション・パートナーズが立ち上がり、同年9月にはスタートアップ企業を支援するcreww(クルー)へ日本テレビが1.2億円を出資、と続いた。

各局は動画配信とベンチャーキャピタルによって、どんなビジネスを描いているのか。フジテレビと日本テレビの例を見ていこう。

【新戦略1:ベンチャーキャピタル】 共同事業も視野に12社に投資

2013年1月、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)がフジ・スタートアップ・ベンチャーズ(以下、FSV)を設立。主にインターネット分野のスタートアップ(起業したての企業)に出資していくと表明した。約15億円の投資ファンドを組成し、ゲーム分野など中心に既に12社に投資している。

映画やイベント事業など、放送外収入をいち早く拡大してきたが、なぜ次はベンチャーキャピタルなのか、フジテレビのゲーム&インキュベーション事業部長でFSVの責任者を兼務する種田慶郎氏にその狙いを聞いた。

出資は「新しいメディア領域を勉強するための手段」

【種田氏】 投資した企業の資産価値が上がったら、早く売ってリターンを得るという一般的なベンチャーキャピタルではなく、(事業の親和性を求める)コーポレート・ベンチャー・キャピタルとしてやっています。もちろん売却益を得ることもあるでしょうが、投資した企業から新しい技術を吸収したり、共同で仕事をしたりという事業としてのメリットが主な目的です。

出資は、新しいメディア領域を勉強するための手段とも捉えています。今新しいメディアの多くは、インターネットの分野から生まれていますよね。著作権などグレーな部分を持ちながらも、新しいニーズを掘り下げて、やがて圧倒的な力で認知されていく。ベンチャー企業の力を借りて、急速に変化するインターネット分野の事業に対応したいという狙いもあります。

投資先選定の際に重視しているのは、FMHグループの企業と協力することで何らかの成長が見込めること。例えば、スマートフォン向けの学習コンテンツを手がけるスマートエデュケーション、3Dプリンターの最新技術を持つカブクなどとは、番組キャラクターを使った商品制作が既に実現しました。デザイン雑貨・家具のショッピングサイトを手がけるMONOCOのように、通販会社のディノス・セシールなどとの相乗効果を見込んでいるケースもあります。

ゲームの分野にも注目しており、モバイル系の作品を手がける制作会社3社に出資しています。他社と共同で資本金を出しているエイリムという会社では、オンラインゲーム『ブレイブ・フロンティア』が全世界で月に数十億円を稼ぐヒット作となるなど、少しずつ結果も現れてきていますね。(談)

【新戦略2:ネット配信】動画配信ビジネスは「定額制」「無料」の第2幕へ

2014年4月、定額制見放題サービスのHulu日本事業を買収した日本テレビ。地上波、BS、CSに続く第4の柱となるメディアに育てようともくろむ。日本テレビが運営することでHuluはどう変わるのか。日本テレビインターネット事業局長でHulu日本法人会長の於保浩之氏に聞いた。

日本テレビはHuluで定額制のスタンダードを狙う

【於保氏】 Huluは、PC、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機など、対応するデバイスが圧倒的に多いのが特徴。朝、家のApple TVで見たドラマの続きを、通勤電車のなかでスマホで見るといった楽しみ方もできる。ユーザーは20代後半~30代が中心ですが、こうした機能もあって、とにかくアクティブ率が高いですね。

約1万5000本ある作品のうち、注目度が高いのは海外ドラマ。人気の『アンダー・ザ・ドーム』シーズン2は、本国での放送の1カ月後など、いかに時間を空けずに配信するかにこだわっています。

日本テレビが手がけるようになって、日本のコンテンツも拡充。『それいけ!アンパンマン』や『妖怪ウォッチ』などのキッズ向け作品をスタートしたり、最近はバンダイチャンネルと契約し、『機動戦士ガンダムSEED』HDリマスター版などが加わりました。

地上波の番組との連動も始めました。『世界の果てまでイッテQ!』は「世界の珍獣/絶景ベスト3」というスピンオフコンテンツを作り、2014年は8月、9月と毎週1本ずつ配信。『ネリさまぁ~ず』(2014年10月で放送終了)では、先行配信にもトライしました。今後は、オリジナルのドラマ制作などにもチャレンジしたいですね。

Huluのような定額制の先には、無料配信も出てくるでしょう。放送後一定期間は広告付き無料配信をしてアーカイブは有料にする、あるいはバラエティーは広告付き、ドラマは有料とジャンルで分けるなど、いろんな方法が考えられる。日本テレビのサイトでは『有吉反省会』など、放送終了後1週間無料で配信するキャンペーンを実施中。将来への準備は進めています。(談)

一方、地上波のドラマ、バラエティーを中心に配信するオンデマンドサービスを黒字化したフジテレビ。コンテンツ事業センター室長の冨川八峰氏に次の一手を聞いた。

フジテレビはオリジナルの無料動画を拡大、専門型チャンネルにも挑戦

【冨川氏】 動画のサービスについては、有料か無料か、地上波の番組かオリジナルかという2軸で、満足度の高いサービスを考えています。今力を入れているのは、無料のオリジナル作品ですね。このカテゴリーには『めちゃ×2ユルんでるッ!』を生配信するゼロテレビがありました。さらに、2014年1月にフジテレビ+、7月にビデリシャスを立ち上げました。

食と旅をテーマにした3~5分程度の動画を毎日配信するビデリシャスは、我々だけでなく一般のクリエイターにも動画をアップしてもらうYouTubeのチャンネル。動画を作ってくれるクリエイターには撮影スタジオを無料で開放し、宣伝や営業はこちらで行う。そして、再生回数が増えることで得られた広告などの収益を、貢献度に応じて配分する。

これは今、アメリカで爆発的に普及する「マルチチャンネル・ネットワーク(MCN)」というモデルを具現化したものです。こうした専門性が高い短時間の動画はスマホではよく見られるのに、テレビ局はあまり作ってこなかった。ビデリシャスのような仕組みでビジネスができるのか、模索を始めたところです。

一方で、『めちゃ×2ユルんでるッ!』のように無料の生配信後、アーカイブが有料で売れるものもある。無料のオリジナル動画からより大きな収益を生むために、3つあるサービスを統一・整理することなども考えています。

今空白になっている、地上波の無料配信も、実現に向けて社内で様々な検討をしているところです。無料動画の広告市場は相当伸びしろがある。米国大手の動画配信会社ネットフリックス上陸の噂もありますし、どんな状況にも対応できるようにしていきます。(談)

(ライター 長昌之)

[日経エンタテインメント! 2014年11月号の記事を基に再構成]

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