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いつか離婚できますように…夫が知らない主婦の決心

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NIKKEI STYLE

日経DUAL
大反響を呼んでいるコミックエッセイ『離婚してもいいですか?』(KADOKAWA)。一見、どこにでもありそうな平和な家庭ですが、主人公の志保の頭に「離婚」の2文字が浮かばない日はありません。じわじわ描かれる、結婚9年目、2児の母親である彼女の日常に、「大共感して大号泣して、でもここまで自分の気持ちを分かってくれる本があるだけで頑張れる」などの反響が集まっています。「ぼんやり離婚願望主婦」を取り上げた作品の魅力、誕生の裏側、夫婦のあり方について、作品を手掛けた松田紀子編集長に聞きました。(聞き手は羽生祥子・日経DUAL編集長)
 このコミックエッセイの主人公は、主婦の志保・34歳。6歳と8歳の息子達と夫の4人暮らしだ。物語は、ある朝のシーンから始まる。朝ごはんを準備する志保。そして、起きてきた夫は、朝食の食卓で、家族と会話をすることなく一人、パソコンに向かっている。夫は目玉焼きにしょうゆ派。志保はソース派だ。

ぼんやり離婚願望主婦のモヤモヤ感

羽生:「離婚してもいいですか」、一気読みしちゃいました。パソコンをカチカチ叩く音から静かに始まって。イラストが可愛いからドロドロしてないんですけど、どんどん話に吸い込まれていっちゃう。

松田:導入シーンは私も下絵の段階から引き込まれました。

羽生:食卓で「目玉焼きはやっぱりしょうゆだよな」と呟く夫に対して「一生、ソースをかけてやる」っていう志保さんの頭の中のセリフにドキッとしたり、結末にもびっくりしました。

松田:静かにともった炎にゾワゾワする感じがずっとあって、最後まで読んじゃいますよね。

羽生:そもそも出版のきっかけは何だったんですか。

松田:結論の出ない内容にモヤモヤする様子をコミックエッセイ化できないかと思いまして。今回の離婚という微妙なテーマを考えたときに、「離婚しました」っていう作者本人のドタバタ劇だと、その家庭の状況に制限されるものになってしまいますから、半分フィクションのような物語のほうが多くの方に「モヤモヤ」を共感して頂けるかと思ったんです。

羽生:そのモヤモヤ感に共感する既婚女性は多いだろうと?

松田:そう。決定打はないけれど、「離婚」の2文字を思い出さない日はない「ぼんやり離婚願望主婦」。作者の野原さんはキャラの心情を描くのがお上手なので依頼しました。

あなたは共感しますか? 批判しますか?

羽生:ディティールがすごく描きこまれていて、実感が伴っていますよね。新しい帯には「共感しますか、批判しますか」とありますけど、これはどういうことですか?

松田:作品へのアマゾンのレビューを見てみると賛否両論でした。主人公の主婦への共感と、子どもが可哀想だから早く別れたほうがいいという批判と。あと、この主婦がわがままだという批判も。要するに、読んだ後にみんな何か言いたくなる作品、テーマなんだな、と。

羽生: 日経DUALの読者になった感覚で、朝の通勤時間にこの漫画を読んでみたんですけど、「離婚」というテーマにも関わらず、あっという間に深いところに持って行かれました。電車内ですごい顔をして読んでいたと思いますよ。

松田:Twitterにも、「大共感して大号泣して、でもここまで自分の気持ちを分かってくれる本があるだけで頑張れる」なんて反響もありましたね。

羽生:気恥ずかしいですけど、私は志保さんに共感したりしながらも、二転三転して「家族」を大事にしたいと思いました。「仕事も、子どもも、愛している」というメッセージを発信する日経DUALの読者が、"なんでわざわざ家族をやっているんだっけ?"と考えるきっかけになるかなと思います。

松田:これを読んだ私の会社の女性たちは、みんな口々に「結婚しても絶対に仕事を辞めない」と言っていましたよ。志保さんは経済的に独立していないからこそ、ずっと決断できずに二の足を踏みまくっている。そういう意味では、共働きで頑張るDUALの読者の方々には、働きながら子育てしていくメリットも感じてもらえるかと思います。

出産前まで対等だったはずの夫婦関係が崩れた

羽生:うちの下の子が通っている保育園では、3~4組に1組がシングルマザーなんです。仕事があるから、自分の人生を前向きにやり直せている方が多いような気がします。一方で、主人公と同様に、決定打に欠けている「ぼんやり離婚願望」の方もすごく多い。

松田:鬱憤が溜まって行くのが怖いですよね。趣味とか仕事とか、それを忘れて発散できる矛先があるといいんですけど。志保さんにはそれがないから、読みながら痛々しい感じがしましたね。

羽生:志保さんご夫婦も、結婚するまでは言い合ったりしながらも楽しくやっている対等な関係だったのに、気がつくと夫が上から目線で自分を見下していた。これって意外とよくある夫婦関係なのかもしれないと思いました。

松田:夫に対して引け目を感じることが当たり前になってしまうと、態度に「いつもごめんね」って感じが出てしまうから。その引け目が夫を増長させるのかもしれません。

 志保と夫の関係が変わってきたのは出産直後から。夫は常に上から目線になった。母乳が出ない志保に「母親失格」と言ったこともある。仕事から帰ってきて、散らかった部屋を見て「家で子育てだけしてて楽でしょ、なんでこんなこともできないの?」と志保を責める。

羽生:夫のセリフに、「お前は家にずっといて、子育てだけしていて楽だよな」ってありましたけど、パートをやりながら主婦と子育てをやるのが一番大変なのに。

松田:24歳くらいの未婚の新入社員の女子が、「今までうちで発売したコミックエッセイの中で一番好き」って読み込んでいて。理由を聞いたら、志保さんを見て自分の母親を思い出すんですって。読んだら泣いちゃうから、お母さんには絶対に渡せないって言っていました。

羽生:以前に、日経DUALの読者に「自分を幸せだと思うか」と聞いたところ、パートタイムで子育て中の女性の幸せ満足度が一番低かったんです。一番幸せなのは、フルタイムで子育てをしている人でした。

松田:自活できているという満足感や、頑張っている達成感が幸せを呼ぶんでしょうね。

羽生:でも、私個人としては、いわゆる大黒柱になった経験があるので、志保さんの夫のことも理解できます。朝起きて仕事に行くのが辛いときとか、仕事で疲れていると、家にいることが楽に見えちゃって。朝の忙しい時間帯に子どもの縄跳びを探すシーンがありましたけど、「子どものモノくらい把握しておけよ」って思ってしまった夫の気持ちも少しは分かる。

松田:どっちが主導権を持って稼いでいるかですよね。奥さんが働いていて、夫が専業主夫という家庭を描いた別の本があるのですが、だんだん妻の態度が横柄になっていくわけですよ。女性が言われ続けた「1日家にいられていいわね」みたいなセリフを妻が夫に吐いて。

羽生:日経DUALの取材を通しさまざまな事例を見ていると、家事と育児の貢献度は年収に連動するというリアルな事実もあります。家事育児の主担当はどうしても収入が少ない方になってしまうという。

松田:お互いが納得できるくらいのバランスにしておかないと新たな問題が起こりうる…。

「きっといつか離婚できますように」

 家族4人で手をつないで星空を見上げる。一見、幸せを絵に描いたようなその瞬間、志保は一人心に誓う。

羽生:志保さんの今回の結末も、1つのあり方ですよね。家庭によりますし、正解はないんでしょうけど。

松田:「きっといつか離婚できますように」って笑顔で終わるラストですね。

羽生:これもゾワゾワしましたね。一番星を見て、家族で一緒に帰りながら、心の中で「いつか離婚できますように」、そうつぶやく…。

松田:渦中の方にとって、これも一つの希望の形なのかなと思っています。一山越えて、今は決断できない自分を認めながら、でもいつか、と決意を固める。迷ってばかりの状況から少し進んだ女性のたくましさ、しぶとさを描きたかった。

羽生:決めきれないままでもいいってことですね。女性は背中を押されるだろうし、日経DUAL読者の4割弱の男性も考えさせられるエンディングだと思います。

松田:男性はきっと寝耳に水ですよ。ありのままの自分を受け入れて、最終的に志保さんの姿に共感するのか批判するのか。それとも羽生編集長のように、やっぱり家族は大事だと思うのか。迷っている方にこそ、読んでもらいたいです。

(ライター 三橋ゆか里)

[日経DUAL2014年10月28日付けの掲載記事を基に再構成]

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