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青天の霹靂 愛する店の閉店と父親仲間の爆弾発言

スポーツライター・金子達仁さん

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NIKKEI STYLE

日経DUAL

読者の皆さま、はじめまして。スポーツライターの金子達仁です。四十にして迷わず、なトシをずいぶんと前に通過したわたしは、確かに、若い頃に比べれば物事に迷わなくなったような気になっていた。なぜ迷わなくなったかと言えば、それなりに世間を知り、分からないことが減ったからだと思っていた。

大間違いだった。

分からないことが減ったのは、若い頃に比べると未知の世界へ突進していく機会が減ったから、でしかなかった。迷わなくなったのは、過去に似たような経験を積んでいたから、でしかなかった。

子どもを育てるのは、未知の世界だった。過去、子どもを育てた経験はなかった。よって、齢47にして、わたしは迷っている。分からないことだらけの世界で、若い頃がそうだったようにドキドキしながら、時に匍匐(ほふく)前進、時にバンジージャンプしている。

わが愛しの、あの店もこの店も……なぜ

大げさな言い方をするならば青天の霹靂(へきれき)、てなことが相次いでいる。

まず「キャセロール」がなくなってしまった。このお店は、カレーが抜群においしい洋食屋さん。予約をしようと思って電話をしたら、いつまでたってもつながらない。あれ、定休日かなとも思い、念のためにホームページで営業日を確認したところ、なんとそこには閉店のお知らせが…。

くぅーーー。3種類の肉が入ったミートミックスカレー、大好きだったのに。俺的には神保町「ボンディ」、金沢の「チャンピオンカレー」と並ぶ3大カレーの一つだったのに。てか、お店の人の感じもすごくよかったし、虎がオトナになってからも通えるだろうなってちょっと楽しみにしてたのに。

青空が広がっているのに雷が鳴った。ビックリした。それが青天の霹靂。まさかあんなに繁盛しているお店が閉店してしまうとは、世の中、わからんもんです。

でも、「え、まじで…」的なニュースはまだあって、「涼しくなってきたなあ、そろそろまた作るか」と思って出かけていった、これまた私が愛するおでん種屋さんが消滅していたのである。

「キャセロール」の閉店もショックだったが、この「愛川屋」の閉店もめちゃくちゃショックだった。ミートミックスカレーはせいぜいひと月に1回食べるか食べないかだが、以前にも書いたように、我が家の食卓におけるおでんはサッカーで言うところのペレであり、阪神タイガースで言うところのバース様であり、つまりは絶対に欠かせない献立の大黒柱なのである。

幸い、ついに後継者の現れなかったペレやバース様と違い、「愛川屋」の代替店はすぐに見つかった。ネットで検索したところ、クルマで10分ほど行ったところにある商店街の中に、「小川屋」というおでん種専門店が明らかになったのである。早速出かけていってしこたま買い込んでみると、これがまた実にうまい。「愛川屋」にはなかった、ピリッと辛味の効いた種もあって、ま、ペレではないがマラドーナな感じなのである。

えっ、もしかして、これって俺のせい…

ちなみに、個人的にはそれほどショックではないのだが、ヨメ的には大打撃を受けてしまったニュースもあって、それは家の近所にある子ども服専門店の閉店だった。

プーマのジャージとシューズさえあれば満足のご主人様と違い、我が家のお坊っちゃまは母親がおしゃれの限りを尽くさせていた。ラインアップの基本線となっていたのは、近所で売っていた「PUTITON」とかいう子ども服である。ところが、「キャセロール」「愛川屋」の閉店とほぼ時を同じくして、こちらのお店もあっさりと店じまいをしてしまった。

これって、俺のせいかも。

自慢ではないが、スポーツライター・カネコタツヒト、雑誌を廃刊に追い込むネガティブパワーには相当なものがある。極めて残念なことに、連載を持たしてもらった雑誌で現在もつぶれずに残っているのは、スポーツ雑誌の「Number」、ヘヴィメタ雑誌の「BURRN!」ぐらいしかない。あとは、み~んなお亡くなりになってしまった。

まさか、その邪悪なパワーがお店にまで影響を及ぼしてしまったのか。日経DUALで取り上げたことで、不吉な運命をおびき寄せてしまったのか――。ま、そんなことはないわな、と信じたいわたしではあるが、万が一、今回紹介した「小川屋」が消滅するようなことがあれば、マジで二度とお店の具体名は出さないようにすることを誓います。

さて、青天の霹靂なのはお店の閉店ばかりではない。

「子育てのアレ、いつも読んでますよ」

ありがたいことに、最近はスポーツの取材先でもちょくちょくそう言われる機会が増えてきた。声をかけてくるのは、ほぼ100パーセント、子持ちのオトコ、それも最近になって子持ちになったオトコである。いまのところ、独身でこの連載を読んでいるという人間には出会ったことがない。

不思議なもので、まったく見知らぬパパたちとはギクシャクした感じになってしまうわたしも、以前からの知人、友人が父親になったというニュースを聞くと、がぜん親近感を覚えてしまうようになった。で、それはわたしに限ったことではないらしく、いままではせいぜい顔見知り程度の関係でしかなかった方からも、親しげに声をかけていただけるようになった。ま、ちょっとした連帯感のようなものである。

で、何が青天の霹靂かというとですね。

子どもは1人でも十分大変、「2人目」の夫婦にリスペクト

「ところでウチ、2人目が生まれたんですよ」

えっ、てか、キミんとこ、カネコ家の2カ月後に生まれたんじゃなかったっけ。ウチの虎がまだ話せてないんだから、たぶん、まだだよな。なのに、2人目…。

別に意地を張っているわけではないのだが、カネコ家の場合、割と近くに住んでいる互いの両親の手をあまり借りずに子育てをしている。正直、こんな楽しいモンをジジババに任せてられるかい、という思いも少しはある。

ただ、そうは言っても仕事が行き詰まってる時にギャア泣きされたりすると、割と大きめではないかと自負しているわたしの堪忍袋もブチブチブチッとちぎれそうになる。たぶん、2歳児のパパママなら誰でもそうなのではないかと思う。

なので、率直に言って想像の外だった。この状態に、さらにもう一人、手のかかる存在が加わるなんて。

すげえ。

同じ年ごろの子どもがいるというだけで、わたしは新米パパに親近感を抱くようになっていた。それは、サッカーがマイナーだったころ、このスポーツをやっているというだけで共有できた感覚と少しばかり似たところもあった。

だとすると、2人目ができましたと聞かされた時に沸き上がってくるこの感情は、そう、大学に入っても体育会でサッカーを続ける仲間に対して抱いた思いとよく似ている。なんていうか、掛け値なしのリスペクト。

だって、ママは子育てをしながら悪阻(つわり)とも闘わなきゃいけないし、パパはパパでオロオロしたりご機嫌をうかがったりで大変である。初めての子どもの時に比べると幾分経験値が上がっている面はあるにせよ、その分、一人にかけられる時間は限られる。なんにせよ、とんでもなく大変な作業であることは間違いない。

で、改めて気づくのだ。自分が3人兄弟だったことに。

小さなお姉ちゃんが第2子の指をニギって……う、羨ましい

2人でも気が遠くなりそうなのに、3人とは。しかも父親はほとんど子育てに参加せず。よくぞまあ、虐待もされずに育ったもんだ。てか、なんであの時代は、3人兄弟が全然珍しくなかったんだろう…。

ともあれ、最近のわたしの周りでは「二児のパパ」が急速に増殖中で、それがまたそろいもそろってうれしそうなもんだから、こちらも思いっきり羨ましそうな顔で応えている。ま、生まれたばかりの赤ちゃんの指を、虎とほぼ同じ時期に生まれたお姉ちゃんがニギッてしてる写真なんぞを見せられたら、どうやったって羨ましくなっちゃうんですけどね。

そうそう、兄弟といえば、こちらの方でも青天の霹靂がありました。

まずちっちゃな驚きは、いつのまにか妹が日経DUALで連載を始めてたこと。ヨメが言うところによると、なかなかの人気を博してもいるらしい。ま、顔も性格も職業も兄とはかけ離れたところにいる妹なので、写真を見ても文章を読んでも誰が妹なのかわかる方はほとんどいないと思うのだが、さて、どうでしょう。

ま、それはともかく、いろいろな驚きに満ち満ちていた2014年にあって、もっともわたしを驚がくさせてくれたのは兵庫県に住む弟から届いたニュースでした。

間もなく、8人目の子どもが生まれる予定──。

これはもう、リスペクトなんて次元じゃありません。8人! お、お前、すごすぎやわ。

妻のアトコメ

 私もたまに妄想する。恵まれるかどうかは別として。もしもう1人いたとしたら…。いやいやいや、無理でしょ。虎1人でもいっぱいいっぱいで、夫婦二人の仕事のやりくりも日々綱渡りだというのに、そこにあの、24時間手のかかる乳飲み子が加わるなんて、考えただけでも不可能だ。

 まず仕事をしながらなんて、物理的に無理。仕事をしようと思ったら、やはり親と同居という選択肢しかないでしょ。といっても、同居できる状態でもないので、やっぱり無理。シッターさんをお願いするって言っても、働きもしないのにそんな余裕はあるわけがない。
 さらにさらに、もし、虎の時のように1年近く休んだとしたら、さすがにもう次の仕事はないだろう。今復帰できたのも、幸運としか言いようがないのに、二度目を期待するのはずうずうしい。仕事ができない以前に、仕事にはもう出会えないだろうという覚悟も必要かも。

 こんなふうに考えて、考えすぎてしまうと、なかなか踏み切れない。という女性は多いのだろうな。もし、何人産んでも、経済的に何の不自由もなくて、いくらでも手伝ってくれる人がいて、仕事も捨てなくてよくて、という世界に生きているとしたら、子どもの数は今の日本より随分増えるのではないか。

 「赤ちゃんほしい」 → 「産みたい」という思考を貫ける世の中が、少子化対策には必要ということかなぁ。
金子達仁
スポーツライター。1966年、神奈川県生まれ。法政大学社会学部卒業後、『サッカーダイジェスト』編集部記者を経て、95年にフリーに。スペイン・バルセロナで執筆活動中の97年に「Number」誌に掲載された「叫び」「断絶」でミズノスポーツライター賞を受賞。著書に『28年目のハーフタイム』『決戦前夜』『惨敗―二○○二年への序曲』『ラスト・ワン』などがある。FC琉球スーパーバイザー。熱狂的な阪神ファン。愛称「虎蔵」(仮)という息子に阪神のユニホームを着せ、選手に抱っこしてもらうのが何よりの楽しみ。虎蔵(仮)を膝に乗せて、原稿を書くという技を習得中。「スポニチ」、「Yahoo!ニュース」、「スポーツメディア道楽者」などのメディアで記事を執筆している。

[日経DUAL 2014年10月27日付記事を基に再構成]

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