ガルシア・ロルカを語るオペラ日生劇場がゴリホフの傑作を日本初演

東欧からアルゼンチンに移住した一族の出身。ラプラタでの少年時代にイディッシュ語を学び、東欧ユダヤ人のエスニックミュージックであるクレズマーとピアソラの音楽に囲まれて育った。

地元の音楽院でピアノ、作曲を修めた後エルサレムに移る。さらに米ペンシルベニア大学でジョージ・クラムに師事し、博士号を取得した。「最初は完全なモダンコンポーザーだったが、次第に新旧あるいはジャンルの異なる音楽形式を融合させる方がより広い聴衆層に訴えると考え、路線を変化させてきた」という。

日本人演奏家の能力を信頼

「あらゆる感情、発想、夢、恐れ……を魂こめて注ぎ込み、社会に問いかける点で、作曲家にとってオペラほど巨大なキャンバスはなかなかない」。より柔軟な作風を試みる過程で次第にオペラの膨大な可能性に目覚め、「若い時に1作手がけた後、『アイナダマール』で大きな賭けに出た」と振り返る。目下、17年の完成を目指して第3作の「イフジェニア」を作曲中だ。

「アイナダマール」ではロルカ役を男性ではなく、女性のメゾソプラノ歌手が担う。メゾソプラノやアルトなど女性の低い声が男性を演じる「ズボン役」(ホーゼンローレ)というオペラの伝統の継承と、ロルカのセクシュアリティーを重ねた秀逸なアイデアは「アクシデントから生まれた」。タングルウッド音楽祭から新作オペラの委嘱を受けた時点では全く別の作品を構想し、出演者全員を女声で考えていた。「契約を終えた後でロルカの物語に差し替えた。歌手をキャンセルせず、そのまま生かそうと思った結果、ロルカをズボン役にするハッピーな展開が訪れた」と、ゴリホフはユーモアを交えて明かした。

「アイナダマール」日本初演の舞台イメージ(演出・粟国淳、装置デザイン・横田あつみ=日生劇場提供)

日本初演はシルグがソプラノの横山恵子、飯田みち代、ロルカがメゾソプラノの清水華澄、向野由美子のダブルキャスト。粟国演出の舞台を広上淳一が指揮、読売日本交響楽団が演奏する。多彩な作曲スタイルをスペイン語の原語上演(日本語字幕付き)で再現するのは至難の業かと思われるが、ゴリホフは「大丈夫」と太鼓判を押す。「小澤征爾さんがボストン交響楽団の音楽監督だった時代に何度も実演を聴き、日本人音楽家の能力の高さには早くから気づいている」からだそうだ。

(電子報道部)

ゴリホフ:歌劇《アイナダマール》(涙の泉)

演奏者:スパーノ(ロバート), アトランタ交響楽団女声合唱団, アップショウ(ドーン), オコーナー(ケリー), リヴェラ(ジェシカ), モントーヤ(ヘスス), チャマ(エドゥアルド)
販売元:ユニバーサル ミュージック クラシック

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