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マンション修繕積立金が足りない 負担こう決まる 所有年数は関係なし

2014/11/8

 A男さん(50)が住むマンションは築20年を超える。このほど大規模な修繕工事をすることになったが、修繕積立金が工事費を大きく下回っていることが分かった。足りない分は「一時金」としてマンションの住人から徴収する可能性があるという。A男さんの負担額は数十万円。3年前に中古で購入したA男さんは納得がいかないでいる。

 分譲マンションは、給排水設備や外壁などを定期的に修繕する必要があります。通常はマンションの管理組合が、住人(区分所有者)から毎月一定額の修繕積立金を集めて工事に備えます。国土交通省の調べによると、専有床面積あたりの修繕積立金は平均で1平方メートルあたり月200円程度です。70平方メートルの家なら1万4000円くらいです。

 月々の積立金の額は、管理組合で決めます。手掛かりとなるのは修繕計画です。例えば12年ごとに外壁を塗り替える、30年ごとに給水管を取り換える、といった計画を基に、どれくらいの費用がかかるかを計算します。一般には、一連の作業を専門の会社に委託します。

 もっとも「大規模な修繕だと積立金では足りなくなるケースは多い」(マンション管理などを手掛ける日本財託)といわれます。もともと工事に必要な費用は建物が予想以上に傷んだり、人件費や材料費が値上がりしたりなど、変動しやすい面があります。さらに修繕積立金は売り手も買い手も負担が少ないよう、低めに設定しがちなためです。

 工事をするのに積立金が足りない場合は、お金を手当てするしかありません。手段は大きく2つあります。「一時金」として一括で追加徴収する方法と、月々の積立金を値上げする方法です。

 必要な工事が迫っている場合は、一時金を選択するのが現実的でしょう。一時金が多額になるのを防ぐには、管理組合で借り入れをする方法もあります。そのうえで修繕費を値上げし、借金はその後の積立金の中から返済します。

 いずれにしても管理組合総会で最終的な判断をすることになります。仮に総会で一時金を徴収すると決議をした場合は、反対している人も従わなければなりません。

 また、後から修繕費を値上げしたり、一時金を徴収したりする場合、マンションの所有年数は勘案されません。そのためA男さんも「新築時から住む人と同じ基準で負担する義務を負うことになる」と菅俊治弁護士はいいます。

 委託した業者の試算が甘かったということもありそうです。その場合も「修繕費そのものが補償されることは基本的にない」と石渡真維弁護士は話しています。委託された業者にきちんと試算をする責任はありますが、必要な修繕費は試算とは関係なく発生するためです。

[日本経済新聞朝刊2014年11月5日付]

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