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名指揮者パッパーノに来日直前インタビュー ローマの名門楽団と3年ぶり

2014/11/1

――来日と前後し、ワーナーミュージック・ジャパンが発売したCD(SACDとのハイブリッド盤)はいずれもサンタ・チェチーリア管の高い合奏能力、管楽器の首席奏者たちの優れた力量を立証するものです。特に声楽曲、あるいは人間の声と関わりの深い作品に対する適性はオペラハウスの楽団でないにもかかわらず、傑出しています。イタリアのロッシーニはもちろん、20世紀英国の作曲家ブリテンの「戦争レクイエム」においても、オーケストラの目覚ましい表現力は明らかです。

ドボルザークの「チェロ協奏曲」を独奏するのは既発売のディスク、日本ツアーともマリオ・ブルネッロ(左)

「声楽曲やオペラの録音は、サンタ・チェチーリアと私にとって重要な柱だ。10月6日にもソプラノ歌手のディアナ・ダムラウと19世紀前半のパリで活躍したグランドオペラの作曲家マイアベーアの没後150年記念演奏会を行い、大成功を収めた。9月には人気絶頂のテノール、ヨナス・カウフマンが独唱するプッチーニのアリア集をソニー・ミュージックに録音した。来年2月27日にはベルディのオペラ『アイーダ』の全曲盤を演奏会形式上演のライブとして、ワーナーに入れる予定。オペラハウスに属する属さない以前に、サンタ・チェチーリアの管弦楽団と合唱団もまたイタリア文化の担い手であり、『歌う』ことへの強いDNAを備えている。特に、歌手とのコンタクトのとり方は絶妙。ロッシーニ序曲集の録音に際しても、作曲家との長い結びつきを思わずにはいられなかった。私は指揮をしながらセッションの間中、彼らの深い人間性と気高い精神、卓越した演奏技巧に魅了され続けていた」

■来年は英ロイヤルオペラと再来日

――来年はロイヤルオペラと再来日、モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」、ベルディの「マクベス」を指揮する計画も発表されました。ローマとの掛け持ちは大変ですか?

「確かにハードワークだが、非常にエキサイティング。指揮者にとってはシンフォニーコンサート、オペラの舞台上演と、2つの世界を持つことが非常に重要である。トスカニーニ、カラヤン、クライバー父子、ヤンソンス……。世界の歴代マエストロはみな、両方の腕を磨いてきた。サンタ・チェチーリアとロイヤルオペラは私とともに働くファミリーであり、最上のパートナーだ。ローマでは歌劇場が経営危機に直面し、終身名誉指揮者のムーティが去り、楽員と合唱団員が解雇されるなど、とても悲しい事態に陥った。早く最良の解決策をみつけてほしい。ロンドンでは昨年3月、トニー・ホール前総裁が古巣BBC=英国放送協会=会長へ転出したのを受け、副総裁から昇任したアレックス・ベアード総裁の下で民間部門のスポンサー収入や個人の寄付が堅調に推移している。私自身が資金調達に関与することはないが、様々な形のマスターコースや普及イベントへ積極的に出演し、支持層を広げるための努力は惜しまない。大好きな国の日本を2年続きで訪れ、シンフォニーとオペラ――私の2つの顔をお見せできるのは、望外の喜びだ」

――ありがとうございました。

(聞き手は電子報道部)

ロッシーニ:序曲集

演奏者:パッパーノ(アントニオ)
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン

ブリテン:戦争レクイエム

演奏者:アントニオ・パッパーノ(cond)
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン

ドヴォルザーク:交響曲第9番

演奏者:パッパーノ(アントニオ)
販売元:ワーナーミュージック・ジャパン

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