N
ライフコラム
生きものがたり

秋は旅の季節 町でも聞かれるヒバリの声

2014/10/25

生きものがたり

ヒバリはスズメと比べると尾が短く、飛翔中は翼が大きく見える=写真 石田光史

秋を寂しいとは思わない。小鳥のさえずりがやみ、虫の声は弱まっても、命のドラマは続いている。多くの虫は短い一生を終えるが、交尾、産卵によって命をつなごうとしている。鳥たちは来春の繁殖期を迎えるために冬を生き延びるべく、北から南へ、山から里へと移動中だ。

歩行は足を交互に 砂浴びも特徴

ツバメやホトトギスなどの夏鳥が南の国に去る一方で、カモやカモメの仲間などの冬鳥が北の国から続々と渡ってくる。

一年中日本で見られる留鳥や漂鳥と呼ばれる鳥たちでも、スズメは春に生まれた若い個体が秋に移動することが知られているし、北海道では冬を越さないヒバリやウグイスは本州以南に移動しているはずだ。南西諸島では秋冬しか見られないムクドリやハシボソガラスなども、どこかから南下してくるに違いない。

朝にブルッと寒さを感じるようになって、タカやヒヨドリの渡りが一段落する頃、ヒバリやウグイスの旅に気づく。

明るいところにはまず出てこない「日陰者」のウグイスは移動するのも夜らしく、朝に「ジャッ、ジャッ」という声を聞いて飛来がわかる。山からもいなくなり、本州以南の低地で冬を越すウグイスは、茂みがあれば庭や公園にもいるのだが、さえずらない。「ホーホケキョ」は春と夏だけ、雄だけの特別な歌(さえずり)であって、普段はスズメより低めの濁った声で、区切って鳴く。

ビンズイは春夏は北海道や標高の高い林、秋冬は本州以南の低地で松林の地上に多い=写真 石田光史

ヒバリもこの季節は「ビルッ、ビルッ」と地味な声しか出さないが、朝に空からその声が降ってくることがある。身近では見られなくなってきたので、町で聞くのは移動中なのだろう。

茶色系の小鳥はスズメと思って見過ごしやすいが、ヒバリは歩き方でもスズメと区別できる。昨年7月の当コラム(ムクドリ)でも述べたように、小鳥は森で進化し、両足をそろえて跳ねるようになった。ただ、ヒバリ科、ムクドリ科、セキレイ科は例外で、足を交互に出して歩く。

注目記事
次のページ
都区部だけでなく多摩地区でも絶滅危惧