日本でインド式教育 IT立国支える理数脳づくり編集委員 小林明

「算数嫌い」を出さない仕掛けとは?

カラフルなブロックを使って説明(G2)

実は「算数嫌い」にならないように授業に様々な工夫がなされている。

たとえば道具を使って数字や計算の概念を視覚的、直感的に理解する授業「Math Lab(マス・ラボ)」。これが「算数嫌い」を生み出さないための歯止めの一つになっているのだ。

G2クラスの「Math Lab」の授業をのぞいてみた。

課題として取り組んでいたのは「35+67=102」。筆算すると、1の位から10の位へ、10の位から100の位へとそれぞれ「繰り上がり」があり、うまく理解しないと「算数嫌い」になるきっかけになってしまう。この「繰り上がり」の概念を理解するために1、10、100の位の3つに線で仕切ったホワイトボードと2種類のブロック(1と10)を使うのだ。

35+67=102の筆算。「繰り上がり」が理解できないと「算数嫌い」になる恐れも……

先生が道具を前に説明を始めた。

「ほら、1の位の5と7を足すと12になるでしょう。ここで10のかたまりができるから、ケタを移して10の位に1つ加えるの。分かるでしょう? 続いて10の位は3と6に1を足すから10になる。ここでも10のかたまりができるから、同じようにケタを移して100の位に1を加えるわけ。だから答えは102になるの……」

子どもたちは先生の説明に熱心に耳を傾けている。たしかに道具を使えば「繰り上がり」を楽しみながら理解できる。道具もカラフルに彩られており、おもちゃで遊んでいるような感覚だ。

算数の美・不思議を道具で体感

3つずつ飛ばしてコマを置くとマス目に斜線のしま模様が浮かび上がる(G2)

奇数と偶数、倍数や十進法などを理解するのに役立つ「スキップ・カウンティング(skip counting=特定の数字を飛ばして数える)」の授業だと、1~100まで番号を打った10×10のマス目と正方形のコマを使いながら教える。

「8から始まる『3のスキップカウンティング』をしてみましょう」

先生が号令をかけると、生徒たちは8、11、14、17、20……と順番にコマを置き始める。すると、マス目の盤上に何本もの斜線が幾何学模様のように浮かび上がった。

数字を単なる記号の羅列としてとらえていたら、子どもは飽きてしまう。だが道具を使えば、五感を刺激しながら、数字の世界の美しさや不思議さを体で感じ取ることができる。ものごとを様々な視点から観察する訓練にもなる。同校では週1時限が「Math Lab」の授業に継続的に充てられているという。

こうして数学的思考力が自然に培われる仕掛けになっているわけだ。

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