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不動産リポート

1番人気は「東南角地」はもう古い 不動産コンサルタント・長嶋修

2014/10/8

■道路からのプライバシー確保に課題も

タワーマンションなど高層階の北側は相対的に割安感があるが、直射日光こそ望めないものの、採光という点では十分であることが知られるようになった。今では、北側だからといって一概に悪いわけではないという認知が広がってきている。同様に、北道路の土地であっても、間取りの工夫によっては十分な採光を確保できる場合も多いのだ。

一方、価値が高いとされる南道路の土地に間取りを入れようとすると、道路の前にリビングや和室を配置することとなるのが一般的である。そうすると道路を往来する人と目が合ってしまうなど、弊害も生まれる場合がある。土地が狭い場合には、リビングの前が駐車場になってしまい、リビングから自動車を見ながら暮らすことになってしまうケースもあるのだ。

■敷地延長地型にもメリット

最も価値が低いとされる「敷地延長地型」は、坪60万~70万円程度(先ほどの図の西道路より30~40%安価)で入手可能だが、通路部分のアプローチをきれいに飾り、建物の見える部分を見栄えよくするなどの工夫ができると、かえっていい住宅になることもある。ただし周辺を建物に囲まれ、死角が多いことから防犯性には十分な注意が必要だ。また、四方を建物に囲まれるため、燃えない・燃えにくい材料を使用するなど防火・防災には配慮が必要だ。

国は現在、大きく住宅政策を転換している。現在、住宅市場は新築建設が主流だが、中古住宅流通に主役を明け渡していく可能性が高い。こうなると、道路付けそのものの価値ではなく、建物の間取りと合わせた評価が行われることになり、道路付けによって現在ほどの差が出ることはなくなるだろう。

長期的には、現在価値が低いとされている敷地延長地型や北道路などの価値が見直され、東南角地や南道路などの価値が低下する可能性が高くなるものと筆者は予想している。もちろん、道路の幅員はじめ周辺の状況、敷地延長地型の場合は、敷地延長部分が道路に接する幅員や距離によって価値が変わるということは、お断りしておく。

長嶋修(ながしま・おさむ) 1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所(HTTP://SAKURAJIMUSYO.COM/)」を設立、現会長。「第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント」の第一人者。国土交通省・経済産業省などの委員を歴任し、2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度を整えるため、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会(HTTP://WWW.JSHI.ORG/)を設立し、初代理事長に就任。『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)『「マイホームの常識」にだまされるな!』(朝日新聞出版)『これから3年 不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)など、著書多数。

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