国の年金は破綻しない 財政検証結果の読み方公的年金の財政検証結果(1)

バラ色老後の基本はやはり国の年金制度です。本連載でも何度か年金制度を解説してきましたが、今月と来月の2カ月間、改めて年金の話をします。

今年は年金制度の理解を深める際に重要な情報が開示されました。公的年金の「財政検証結果」です。

公的年金も「人間ドック」、財政検証結果が公開

6月3日、厚生労働省は社会保障審議会年金部会において「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し~平成26年財政検証結果」を公表しました。

これは国の年金制度について5年に一度人間ドックを行うようなもので、様々な前提を踏まえてシミュレーションし、制度の将来予測を検証するものです。

年金制度は長期的に継続する仕組みですから、出生率の変動、長寿化の進展、現役世代の賃金上昇率、働く人の割合や年齢の変化、物価の変動、運用環境の変化など多くの要素が絡み合って成り立ちます。

これを一定の前提を置きつつシミュレーションし、年金財政が健全か、見直しが必要なのはどこかをチェックするのが財政検証結果です。

都合のいい前提ばかり採用してシミュレーションして「年金制度は安泰です。ご安心を」という結果になる心配もあります。きちんと計算の前提も情報開示されますし、今回はケースAからHまで8パターンのシミュレーション結果を提示しています。さらにオプション試算として3つのファクターを加味した試算も提示しています。

翌日のニュースは年金不安を報道したが…

審議会の開催は夕方から夜にかけてでしたから、ニュースで報道されたのは主に4日の朝からでした。政府が約束している現役時代の所得の5割程度の年金確保が危ういような報道がなされました。一般的なメディアの取り上げ方としては「ほらやっぱり、年金制度はヤバいじゃないか」という感じです。

ネットのニュースサイトや大衆紙など、年金不安を強調した報道では「30%台に低下のおそれも」という言葉が使われ、大きく年金がカットされる可能性を紹介する記事もありました。

多くの20代は「うーん、やっぱり年金はもらえないのかな」と感じたかもしれません。しかし、そこでストップしてしまうのはまだ早いと思います。「30%台」という年金水準がどんな状況で生じるか、確認すべきだからです。

ニュースと全く違った年金部会の現場の空気

公的年金と企業年金は私の専門分野ですから、厚生労働省の年金関係の審議会は可能な限り傍聴しています。少なくとも10年は聞き続けています。「ムダな議論だなあ」と思うこともあれば、「質の高い議論がなされたのに報道とのギャップがあるな」と感じることもあります。

この日も審議会を傍聴席で聞いていましたが、審議会の現場では悲観的なニュアンスはまったくありませんでした。むしろ「現行制度の方向感で破綻のリスクは低いことが確認できた」「ここをベースに必要な改正をもっと議論していくべきだ」という前向きの雰囲気だったと思います。

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