ライフコラム

ヒット総研の視点

更年期迎える女性の「不安」市場にビッグチャンス 日経BPヒット総研 黒住紗織

2014/10/2

エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を切るコラム「ヒットのひみつ」。今を象徴するキーワードから、話題の理由、面白いワケなど、「ひみつ」を明らかにします。今回のヒットワードは「バブル世代の更年期不安」。日本では、約1200万人の女性が更年期を迎えています。しかし、この魅力的なマーケットを獲得できているのはまだ一部です。

今後、毎年約80万~90万人――。これは何の数字かお分かりだろうか。答えは「閉経する日本女性の人口」だ。閉経というのは、女性ホルモンが激減して生理が止まり、女性の体が生殖の性という役割を終える時期のこと。「閉経」を迎える平均年齢は調査によって多少の違いはあるが、『日経ヘルスプルミエ』が実施した読者調査(2011年8月実施)では50.5歳。つまり、冒頭の数字は50歳を迎える女性の数ともいえる。

そして、この閉経を挟む約10年間、女性は更年期という心身の大きな変動期を迎える。初潮を迎え、女性ホルモンの分泌が始まるとき、その影響を受けて少女たちは心身が不安定になる「思春期」に突入する。そしてこの時期を通過して性成熟期を迎えるが、「更年期」にはこれと同じような作用が心身に起こり不安定になる。

年齢幅でいうとおよそ45歳から59歳がこの時期に当たるのだが、ここから算出すると、全人口の約1割(2014年版の人口動態統計)、約1200万人が“更年期世代”ということになる。しかも、数年後には、団塊ジュニアが更年期となり、対象者が増える。

図1 更年期世代の女性でも、半数は「更年期の実態」を知らない。40-65歳の更年期を経験した(している)181人の回答(日経ヘルスプルミエ)

ここには魅力的なマーケットがあるのに、それに対する商品開発やサービスがまだ追いついていないと筆者は感じている。

「更年期」は、表立って扱いにくい“アンタッチャブル”な言葉だ。女性性の象徴である女性ホルモンが出なくなる=女性でなくなる、といったネガティブなイメージを漠然と持つ人は多く、自分に更年期が訪れていることを認めたくない心理が女性自身にも働く。

そもそもどんな変化が表れるのかなど、医療の分野で本格的に研究が始まったのも数十年前からといわれる。そのため、学校や家庭で更年期の正しい知識を学ぶ機会はほとんどなく、「更年期」がどんなものか(図1)、また必ず自分に訪れる転換期であるということを知らない人も多い。「嫌なもの、老化の象徴」といった漠然とした悪いイメージだけが独り歩きしていたのが実情だ。

図2 更年期を終了した211人の回答。2007年8月調査(日経ヘルスプルミエ)

実際にはこの時期を迎えると、女性の8割にはイライラしたり、急に汗が出たり、抑うつ感が強くなったり、動悸(どうき)やめまいがしたり、物忘れが増えたり……といった様々な症状が出ることが多い。症状を感じず、ほとんど支障なく過ごせる人も2割いるが、「生活に支障をきたす」「かなりつらい」と苦しむ人も2割程度。症状の軽重の差こそあれ、約8割は何らかの症状を自覚している(図2『日経ヘルスプルミエ』読者調査2007年実施)。

それにもかかわらず、先輩女性(“更年期卒業生”)たちはそのことを表立って主張しなかった。年代特有の奥ゆかしさもあるだろうし、仮に不調を医師に訴えても更年期医療に対する知識のない医師だと「年だから」と片づけられてしまい、本人も更年期の実態を知らないまま「仕方がない」「こんなものだ」とあきらめてしまう。結果、苦しい思いをしながらこの時期を通り抜けたという人の声も数多く聞いた。

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