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保険の新常識

「ぴったりな保険」探しで聞かれない肝心なこと 保険コンサルタント 後田亨

2014/9/29

保険会社のサイトでは、年齢や性別、家族構成、職業、住宅ローンの有無、加入目的を入力すると、その人に合った保険を探せる機能を目にします。「生命保険は一人ひとりの生活環境やライフスタイルにより、最適なものが異なります」などとうたっているのですが、その割には肝心なことが問われていないのが気になります。

保険会社のサイトや営業担当者が教えてくれなくても、自分が捻出できる資産額や勤務先の福利厚生制度はちょっと調べてみれば分かることだ

それは貯蓄額や、いざというとき現金に換えられる資産、勤務先の福利厚生制度、所属する業界団体の共済制度や団体保険です。私はこういった情報こそ、年齢や家族構成以上に重要だと思っています。

例えば100万円程度のお金をすぐ用意できる人なら、医療保険やがん保険に頼らなくてもそう困らないはずです。これは6月16日付「がん保険は備えすぎ? 知っておきたい治療の相場」などで紹介したデータからも分かります。また貯蓄が少ない人でも健康保険組合の高額療養費制度に「付加給付」があり、1カ月の自己負担限度が3万円未満になるようなら、入院保障中心の保険は必要ないでしょう。

勤務先の弔慰金や死亡退職金制度、業界独自の共済制度、企業が契約している団体保険の確認も欠かせません。企業によっては弔慰金や死亡退職金がとても手厚く、国の遺族年金などを加えると民間の死亡保険に入るまでもないケースがあります。共済制度や団体保険は余計な販売コストがかからないぶん、個人向け保険よりはるかに安い料金で利用できることも珍しくありません。

福利厚生制度など勤め先で活用できる保障内容は、民間の商品を検討する前に必ず確認しておくべきことなのです。転職するリスクは考慮する必要があるものの、「保険=民間の保険会社の商品」という前提で選んでしまうと、どうしても出費が増えやすくなるからです。

さらに確定拠出年金制度があるかどうかも見逃せません。保険会社のサイトで加入目的を「老後のための資産形成」とすると、個人年金保険を薦められるはずです。しかし掛け金がその年度の所得から全額控除される節税メリットを考えると、確定拠出年金で積み立てていく方が有利です。自営業者なら国民年金基金や小規模企業共済も視野に入れるべきでしょう。

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