目の疲れ、回復のヒントは就寝2時間前にあり
カラダのお悩み何でも診療所(9)
パソコンやケータイの使いすぎで、目が疲れています。疲労回復方法を教えてください。(34歳・サービス・経理)
仕事で長時間パソコンを使い、通勤中もケータイやスマホとにらめっこ。寝る直前まで画面を見続けている……。そんな生活を送っている人も少なくないのではないでしょうか?
パソコンやケータイなどの画面を至近距離で凝視し続けると、ピントを合わせる毛様体という筋肉が凝り固まって目に痛みを感じることがあります。さらにまばたきが減ってしまい、目が乾燥してしまうことも。ディスプレーを1時間見続けたら、できれば10分程度の休憩を入れ、意識してまばたきをしたり、窓の外など遠くに視線を移したりしましょう。時間がないときには、机の上と遠くの景色を5秒ずつ交互に見ると、ピントを合わせる筋肉のストレッチができます。
また、明るすぎる画面だと目が疲れます。スクリーンに直射日光が当たっていないか、画面がまぶしくないかなどを一度確認してください。
パソコンを使った作業で、特に見直してほしいのは、姿勢です。猫背などの悪い姿勢で固まったままディスプレーを見続けていると、頭頸(とうけい)部への血流が悪化し目が疲れやすくなります。背筋を伸ばした状態で、画面は顔の正面かやや下に。そして肘が90度に曲がる位置にキーボードがあるのが理想。そうすれば、自然な目線をキープでき、肩の力が抜けた状態で作業ができます。
今、パソコンやケータイの液晶モニターのLEDから発するブルーライトが注目されていますね。この光は、生体のリズムをつかさどる細胞に刺激を与え、眠気を誘うメラトニンの分泌を抑えることが分かっています。ですから、寝る前2時間は画面から離れることが目や体の疲労回復につながりますよ。
目の慢性的な疲れは、視力低下などの原因になります。疲れやすいと感じたら、眼科を受診しましょう。
パソコンやケータイなどの至近距離のものを見るとき、瞳孔が小さくなり毛様体筋が収縮してピントを合わせる。この状態が長いと、筋肉が凝り固まり痛みや疲労の原因に。そのほか、ディスプレーを凝視してまばたきの回数が減り、目の表面をカバーする涙の分泌が減ると、目が乾いて疲れやすくなる。
この人に聞きました
北里大学医療衛生学部教授。88年北里大学大学院医療系研究科修了。オハイオ州立大学薬理学教室留学、国際医療福祉大学准教授を経て現職。眼精疲労の研究を行っている。
(日経WOMAN 福島哉香)
[日経WOMAN2013年11月号の記事を基に再構成]
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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