マネー研究所

男の家計改善

「103万円の壁」にこだわる人は損をする

2014/10/20

日経マネー

 枝葉の節約もいいが、男なら太い幹の「構造」を知り、改善を考えるべし――。労働組合シンクタンクの生活経済研究所長野の事務局長を務める塚原哲氏が、アッパーミドル層の男性を対象に「骨太」の家計改善法を伝授する。5回目は、配偶者控除が使える「103万円以下」を気にしてパート収入を抑える努力は、まったくの無意味であることを数字を基に解説する。

 会社員の配偶者がパート等で収入を得る場合、収入額を年収103万円以下、あるいは141万円未満に抑える世帯が少なくない。その背景には、妻の収入が増えることで夫の税金が増え、妻自身も税金や社会保険料を負担して手取りが少なくなることへの懸念がある。

 例えば夫が会社員の場合、妻のパート年収が103万円以下なら夫の税額計算上、配偶者控除が使えるようになるため、所得税や住民税が小さくなるという理屈だ。それを超えても、141万円未満なら配偶者特別控除も使えるので、何とかその範囲に収めたいという人は多い。

 だが、残念ながらその苦労はまるで意味がない。

■所得税額の計算はシンプル

 理屈はこうだ。所得税の計算では、年収から3割程度の経費が掛かったものと見なして差し引いてくれる。これを給与所得控除といい、年収500万円の人なら154万円が差し引かれ、残りの346万円を利益(給与所得)とされる。

 ここから社会保険料控除、基礎控除、配偶者控除などの諸経費(所得控除といい、14種類ある)が引かれて、その最終的な残額(課税対象)に所得税率がかけられるという仕組みだ。

 ちなみに、所得税率(復興特別所得税を含めると所得税率の1.021倍)は夫の課税対象に応じて5%、10%、20%と高くなっていくが、一般会社員で20%を超える人はさほど多くはない 。

 妻の年収が103万円以下であれば配偶者控除38万円(70歳未満の妻の場合)を引いてくれるので、その所得税率分だけ安くなる。すなわち、所得税率が5%なら1.9万円、10%なら3.8万円、20%なら7.6万円の所得税額に相当する。

 妻のパート年収を103万円までに抑えたい気持ちも分かるが、肝心なのはそれを超えたらどれだけ手取りが減るかだ。

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