マネー研究所

税を知る

アップルもグーグルも 一から分かる企業の税逃れ

2014/9/25

 グローバル企業による国境を越えた節税策に、厳しい目が注がれています。少しでも税負担を減らしたい企業と、何とか税を集めたい国との戦いかと思いきや、話はそう簡単ではないようです。青山学院大の三木義一教授に聞きました。

■国と企業の力関係が逆転

 ――企業の節税がクローズアップされているのはなぜですか。

 グローバル企業が国家をしのぐほど大きく成長し、税の問題がそれぞれの国だけでは解決できなくなってしまっているからです。昔は国の方が企業よりずっと力が大きかったので、国の枠の中で物事が収まっていました。ところが、経済のグローバル化に合わせて企業が国境を越え始め、力関係が逆転してしまったのです。いまや企業は、経済活動や税負担の都合で国を選び、利用する立場にあります。

 こうなってしまうと、厳しく税を取り立てるのではなく、逆に負担を減らして少しでも多くの企業や富裕層を呼び込もうという国が現れます。特に小さな国は、それぞれの企業から受け取る税が減っても、それ以上にたくさんの企業がやってきて税を納めれば税収は増えると考えるのです。これがいわゆるタックスヘイブン(租税回避地)です。英領ケイマン諸島などが有名ですね。ちなみに、「税金天国」というイメージがあるかもしれませんが、ヘイブンはheavenではなくhaven、「避難所」という意味です。

 ――タックスヘイブンはどこで始まったのですか。

 タックスヘイブンの原型は、19世紀後半、米国で生まれました。ニュージャージーやデラウェアといった小さな州が、会社を立ち上げやすくするという方法で企業を呼び込み始めました。初めは国内で企業を奪い合っていたのが、これをまねした欧州では国境を越え、他国の資本まで集めるようになっていきました。

 税制を含む本来のタックスヘイブンが成立するきっかけをつくったのは、英国の裁判所です。1929年、「英国で登記されている企業でも、管理・監督が海外で行われていれば納税義務を負わない」という裁定を下したのです。英国としては、所在地と実質的な本拠地が一致しないケースが増えるなかでルールを整理しようとしたつもりだったのでしょうが、この裁定は大英帝国全体に適用できたので、結果的に世界中の英国領がタックスヘイブンになれる道を開いてしまいました。

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