ライフコラム

ヒット総研の視点

ヨーグルトの底力 乳酸菌がつくる“食物繊維”に脚光 日経BPヒット総研 西沢邦浩

2014/9/25

エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を切るコラム「ヒットのひみつ」。いまを象徴するキーワードから、話題の理由、面白いワケなど、「ひみつ」を明らかにします。今回のヒットワードは【ヨーグルト】。健康志向食品の中で最大の市場規模を誇るヨーグルト。その効能研究が花盛りです。グルジアの現地取材も含め、最新事情を紹介しましょう。

「乳酸菌を含むヨーグルトを食べることで、老化を促す腸の腐敗菌の増加を抑えることができる」――。今から約100年前、ロシア生まれのノーベル生理学・医学賞学者、イリア・メチニコフが唱えた「ヨーグルト不老長寿説」は今、実証されつつある、といってもいいのかもしれない。そう思わせるほど、ヨーグルトとそれに含まれる乳酸菌・ビフィズス菌類についての効能研究が花盛りだ。

「カスピ海ヨーグルト」のイメージ

「おなかの調子を整える(整腸)」というトクホ(特定保健用食品)で表示が許可されている効能に加え、体脂肪減少、インフルエンザ・風邪の予防、花粉症・アレルギーの改善、美肌といった現代人が関心を持つ機能についての研究が相次いで報告されている。最近では、ストレス軽減、安眠などヨーグルトの菌が脳にまで働きかけるとする研究も登場。

ヨーグルトは市場規模も、健康志向食品の中で最大だ。

整腸トクホのヨーグルトおよび乳酸菌飲料の市場は2013年で3500億円超(日本健康・栄養食品協会調べ)。トクホ市場の過半を占める。

また、乳酸菌飲料を除き、トクホ以外の商品を加えたヨーグルト市場を見ても4000億円を超えていると思われる(いくつかの統計から著者が推定)。

■日本の長寿食研究者が注目したグルジアのヨーグルト

メチニコフが研究対象にしたのはブルガリアのヨーグルトだったが、健康長寿食の研究を行う武庫川女子大学国際健康開発研究所の家森幸男所長は、古くからヨーグルトを食し、元気な長寿者が多いとされるコーカサス地方の国、グルジアのヨーグルトに注目した。

同国を研究で訪れた1986年、ロシアと国境を接する中北部に位置する南オセチア州の村(2008年の南オセチア紛争以降入域は困難に)で入手したのが、日本で「カスピ海ヨーグルト」と呼ばれる、粘り気があり室温で発酵する(通常のヨーグルトは発酵に加温が必要)特徴を持つヨーグルトの元だという。

「元気な長寿者たちは、豊富な果物を皮ごと食べ、肉はゆでで脂を落としてから調理し、そして、毎日ドンブリ一杯くらいの自家製ヨーグルトを食べていた。和食の良さは“まごわやさしい”という語呂に集約されるが、弱点もある。特に問題なのが塩分の取り過ぎとカルシウム不足。この解消に役立ち、骨を強くして寝たきりになるのを防いで、健康寿命延長に寄与するのが乳酸菌類を含む発酵乳」(家森所長)

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