「自分なりの愛の育て方を思って」俳優、堀北真希(上)

2014/9/20
インタビューに答える堀北真希さん
インタビューに答える堀北真希さん

人気俳優の堀北真希さんが「家族の幸せを守りたい」と、芸能界からの引退を表明しました。NIKKEI STYLEの前身、日経電子版ライフでは2014年10月に公開された映画『蜩の記(ひぐらしのき)』で主人公の武士の娘を演じた堀北さんにインタビューし、上下2回に分けて公開しました。堀北さんが語る職業観、家族観について改めてご一読ください。2017年3月1日更新。

葉室麟の直木賞受賞作を小泉堯史監督が映画化した時代劇「「蜩ノ記(ひぐらしのき)」(10月4日公開)で、10年後の切腹を命じられるという過酷な運命を背負いながら藩の家譜編さんの役目を全うする主人公の娘・薫を演じた俳優・堀北真希さん。「自分なりの愛の育て方、大切な人を大事にすることを思いながら見てほしい」と語る堀北さんに、作品への思いや撮影の苦労話を聞いた。

――出演依頼を受けたときの思いは。

「以前、大奥を舞台にした時代劇に出演したことがあるのですが、そのときはきらびやかな世界で、それはそれですごく美しかった。今回の映画は、村の武士の家族の生活が舞台ということで、そういった人たちの生活というか生き方にも興味がありましたし、何より原作も脚本も素晴らしかったですから、是非やってみたいなと思いました」

――撮影にあたり小泉監督からはどんな注文があったか。またどう役作りしたか。

「監督からはまず『所作や男性との触れ合い・接し方など、現代とは違うことがたくさんあるが、ナチュラルにやってほしい』と言われました。特に(檀野庄三郎役の)岡田准一さんとのシーンについては『男性に対する気恥ずかしさや奥ゆかしさをすごく出してほしい』と。現代では、初めて会う男性でも、そこまで恥ずかしいと思うことはないじゃないですか。だからそこは演じるのがとても難しかったですね」

「今回の私の役は武士の娘(薫)ということでしたので、武士の娘とは何たるものかというところから役作りの勉強をしました。監督から、武士の娘として生まれ後に海外に渡った実在の女性に関する本や、当時の生活について書かれた本など、いくつか参考になる本をいただきました。それを読み、表面的な形ではなく薫が実際にどういう女性だったか、どういう気持ちで生きていたか、を自分なりにイメージしてから撮影に入ったという感じです」

「難しかったのは、食事のシーンと舞のシーンです。なかでも一番大変だったのは食事の場面。膳を出す所作や食べる所作などすごくたくさんあり、しかもセリフも言いながらの演技なので、とても難しかったです。ご飯の食べ方ひとつをとっても、おかず・おかずと続けて食べてはダメで、おかずの後いったんご飯に戻らなければいけないとか、手がおかずの上を通らないようにしなければいけないとか……、大変でした。所作を学ぶために小笠原流のお稽古にも行きました。4人で踊る舞のシーンも難しかったです。手の角度や、指先の形など、私だけ間違っていたら目立ってしまうので。踊りには豊作を喜ぶという意味が込められていて、それを思い浮かべながら踊らなければならなかったし。現場で実際にみんなに見られながら舞うので、緊張もしましたね」

――作品で、現代との違いを強く感じたところは。

「現代と比べるとだいぶいろいろなことが違うと思いますね。登場人物たちの気持ちの面とか、家族の中でお父さんを一番立てる、それが中心・基本となって生活しているということ――とか。とてもまねできないなと思いました。ただ、やはり日本人として、そういうことを知っておくことは大切だなと感じました。ご飯の食べ方をとっても、自分は好きな物から迷わず食べちゃいますからね。今の時代と比べたら、ないものが多い時代ですが、撮影を通じて、目の前にあるものを一日一日大事にして過ごす生活を疑似体験できたのは良かったなあと思います」

「当時の女性は、自分から何かを主張したり、自分から何かをしたりとかいうことができないので、『受け止める大きな心』とか『対応する力』とか、そういうものがすごく必要だったんだと思います。例えば、お父さんが言ったことを『はい』と言って対処したり、今回の映画でいえば、父の命がいつまでと決められたことに対しての覚悟を持って生きていかなければならないこととか。面と向かってお父さんに『何でなの!』とは言えない。そんな時代だったんですよね」

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