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能年・有村・橋本…「あまちゃん」出身女優、その後

日経エンタテインメント!

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能年玲奈、有村架純、橋本愛――NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』によって大きな注目を集めた3人の若手女優だが、出演後の仕事ぶりは三者三様に分かれた。あまちゃん効果を最大限に生かす者、脱あまちゃんを狙う者、彼女たちの本当の対決はこれから始まる。

出演作を厳選した能年、積極的に露出した有村

2013年4~9月放送のNHK朝ドラ『あまちゃん』は、宮藤官九郎によるユニークな脚本が幅広い層に支持され、最高視聴率27.0%(ビデオリサーチ関東地区)を記録した。このドラマの大ヒットで知名度を伸ばしたのが、主演の能年玲奈、主人公の母親の少女時代を回想シーンで演じた有村架純、主人公の親友・ユイ役の橋本愛である。

ここ数年はAKB48人気の勢いに押され新しい女優のスターがあまり生まれなかったが、主演女優の世代交代が進み、若手女優が注目を集めるようになってきた。そのきっかけを作ったのが、『あまちゃん』出身のこの3人だ。

しかし、朝ドラ放送終了後の3人の戦略は、それぞれ異なった。

能年玲奈は、『あまちゃん』のイメージがいつまでも抜けなくなってしまうことを警戒して出演作をじっくり選び、メディア露出を絞ってきた。朝ドラ以降のドラマ出演は2014年4月放送の『世にも奇妙な物語'14春の特別編』のみ。2014年8月に、満を持して主演映画『ホットロード』が公開され、番宣のために数多くのテレビ番組に出演して、久々に注目を集めた。

対照的に有村架純は、『失恋ショコラティエ』『弱くても勝てます』など連ドラに積極的に出演したほか、『あまちゃん』効果でCM起用が増え、2013年は11社(ニホンモニター調べ)に出演。むしろ、「朝ドラ以降」に認知度が伸びた。映画も朝ドラ終了以降に5作品が公開され、ジブリ映画『思い出のマーニー』では主人公の1人、マーニーの声優を担当した。

認知度と関心度の数値を基にした「タレントパワースコア」(アーキテクト調べ)では、能年は『あまちゃん』の顔だっただけに朝ドラ放送終了直後は他の2人を大きく引き離していたが、その後の数値の変化はあまりなかった。対して、有村はCM出演で知名度を急伸させ、右肩上がりでスコアを伸ばしてきた。

女優の評価では橋本がリード

橋本愛は、能年・有村より年齢が3歳若いが、演技キャリアは豊富。14歳のときに公開された『告白』でメイン生徒役を演じて脚光を浴び(この映画の生徒役で能年玲奈が女優デビュー)、『あまちゃん』の前年に公開された『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。

女優としての評価は他の2人より先行していて、『あまちゃん』に起用されたのも、演技経験が多くない能年を抜群の演技力でサポートする存在として期待された部分もあった。とはいえ、映画を中心に玄人好みの演技派としてマイペースに活躍してきたため、『あまちゃん』出演で知名度はアップしたが、一般的な認知度はまだ高くない。最近では『ハードナッツ!』で連ドラ初主演、『若者たち2014』にもレギュラー出演するなどドラマ出演も増え注目度が上昇している。3人の中で最も、今後の伸びしろがあると言える。

高い視聴率を誇る朝ドラは、いまや若手女優の登竜門になった。だが、朝ドラでブレイクした後もずっと人気を持続できるとは限らない。朝ドラが終わってから女優としてどう展開していくかの戦略が、成功のカギを握る。

『あまちゃん』出身の3人から最終的に誰が抜け出すかについては、もうしばらく、それぞれの活動を注視する必要がありそうだ。

(ライター 高倉文紀)

[日経エンタテインメント! 2014年10月号の記事を基に再構成]

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