Hakujuギター・フェスタ2014バロックからシャンソンまで広がるフレンチ・ギターの魅力

ギターといえばスペインの印象が強いが、フランスも実は本場だ。白寿ホール(東京・渋谷)で8月22~24日に開かれたクラシックギター音楽祭「Hakujuギター・フェスタ2014」。9回目の今年はフランスがテーマ。パリを中心にギターがいかに人々の心に浸透していたか。クラシックとポップス、古典と現代作品の境界を越えてフレンチ・ギターの魅力が広がる。8月23日のリサイタルを聴いた。

「旬のギタリストを聴く」のリサイタルで独奏した木暮浩史(8月23日、東京都渋谷区の白寿ホール)=写真撮影 三好 英輔、写真提供 白寿ホール

小田急線の代々木公園駅を出て徒歩5分ほどで白寿生科学研究所の本社ビルに着く。オフィスビルの外観からは、桜材の床に300席、優れた音響空間と評される小ホールがその中にあるとは想像できない。23日はまず午後3時から「旬のギタリストを聴く」と銘打って若手の木暮浩史の独奏が始まった。ルイ14世の楽師だったド・ヴィゼの「組曲ト長調」を弾く。ギターが演奏されるベルサイユ宮殿を思い起こすようなバロック風の明るい曲調の作品だ。

1988年生まれの木暮はスペインギター音楽コンクールなどで優勝。期待の若手ギタリストだ。続けてドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」や「ミンストレル」のギター用編曲版を演奏。20世紀の「フランス6人組」の作曲家ミヨーの「セゴビアーナ」などフランスの作曲家の作品で演目を固めた。速いフレーズで高い技巧を印象づける演奏だった。

東京ホット倶楽部バンドで歌う繭本珠妃(8月23日、白寿ホール)=写真撮影 三好 英輔、写真提供 白寿ホール

終演後、席を立ってホールの後方に行くと、日本を代表するギタリストたちがいた。荘村清志、福田進一、鈴木大介だ。「すごい3人がそろっているぞ」と学生風の客の1人がつぶやいた。若手の木暮の演奏を見守っていたのだろうか。次第に分かったことだが、小ホールでのお祭りだからアーティストと客が会場内で普通に接することができる環境にあるのだ。

夜の部は「パリのカフェ」と題し、前半に東京ホット倶楽部バンドが「マヌーシュ・ジャズ」と呼ばれる音楽を披露した。ロマの音楽とスイングジャズを融合させたバンドの音楽で、創始者はロマのギタリスト、ジャンゴ・ラインハルト(1910~53年)といわれる。東京ホット倶楽部バンドの編成はバイオリン1人にクラシックギター2人、エレキギター1人、それにコントラバスに(ベース)の合計5人。歌が入るとこれに女性ボーカルの繭本珠妃が加わる。

このあたりからフェスタはいよいよフレンチっぽくなってくる。バロックなどのクラシック作品はギターでなくても聴けるかもしれない。それよりもジャズやシャンソンなど大衆音楽の味わいがある曲の方がパリの庶民の日常生活を反映していてなじみやすいし、ギターがよく似合う。

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