20代・30代女性が「社会起業家」になった理由

2014/9/19
日経ウーマン

自分らしいやり方で、社会の問題に前向きに挑み、「やりがいがあって楽しい」と自身の仕事を語る社会起業家の女性たち。自分が好きなことで社会の役に立つ──。インタビューを通して、そんな新しい働き方に注目します。
~自閉症の子どもたちと家族をサポート~

学生時代のアルバイトがきっかけ、自閉症の子どもの療育を開始

ADDS共同代表(理事) 熊仁美さん(30歳) (写真:小野さやか)

「ずっと話せなかった自閉症の子どもが言葉を発したり、今までできなかったことができるようになったり。彼らの新しい可能性が生まれる瞬間に立ち会える。その喜びが、一番の醍醐味」

そう話すのは、自閉症などの発達障害の子どもと保護者に向けた早期療育プログラムを実施する「ADDS」共同代表の熊仁美さんだ。「日本では100人に1人の割合で自閉症児がいるとされています。でも、アメリカなどに比べてサポート体制が機能しているとはいいにくく、親同士が個別に勉強会などを立ち上げている状態なんです」

起業のきっかけは、心理学を学んでいた大学時代に始めた自閉症児療育のアルバイト。「1週間で10家庭を担当するほどの忙しさ。需要の多さに驚きました」。ニーズに対応すべく同じゼミの仲間と発達障害支援会を作り、大学院進学後も精力的な活動を続けた。“いつかこれを仕事にしたい”と思いながらも踏み出せずにいたが、「なぜか一緒に起業を模索していた(現・共同代表の)竹内とそろって博士課程進学の願書を出し忘れた」ことが起業への背中を後押しした。

前向きに療育に取り組む姿勢や、明確な成果が評価され、親の会の満足度アンケートでほぼ満点の高評価に
メンバーと共有している思いは「心から楽しむ」こと。そのため、何でも遠慮せず指摘し合う仲。職場には、今年初めて男性の新入社員が2人入った

当初は机上の理論にこだわりすぎたことも。「自分本位の支援ではダメ。それぞれの家庭や子どものニーズを満たすことで喜んでもらえるし、本当に社会に役立つ仕組みになる。経験の中でそう学びました」

いつしか“社会全体を良くしたい”という視点も芽生えた。「自治体と連携しながら、発達障害のお子さんが誰でも早期に療育システムを受けられるような社会を目指したいです」

熊さんに4つの質問
Q. 起業のきっかけは?
療育セラピストのアルバイトを経験し、需要の多さを感じていたため、友人と一緒に事業を立ち上げた。
Q. 活動を通じて自分が変わったことは?
周りのためという視点から、広く“社会全体をよくしたい”と考えるように。
Q. 心がけていることは?
自己満足の支援にならないようにする。相手のニーズに合ったものを提供してこそ、本当に喜んでもらえる。
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