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98年が秋葉原サブカル元年、ラジオ会館が映す激変史

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NIKKEI STYLE

7月20日、東京・秋葉原駅前の商業ビル「秋葉原ラジオ会館」が建て替えを終え、3年ぶりに再オープンした。初日は開店前から約4千人が列をなし、変わらぬ人気を見せつけた。ラジオ会館といえば「秋葉原の顔」。戦後の秋葉原の歩みを見続けてきた。闇市から電気街、そしてサブカルチャーの街へ。劇的に変化してきたラジオ会館の店舗構成をたどり、秋葉原の変遷を追った。

ラジオ会館は「パソコン発祥の地」

秋葉原ラジオ会館が開業したのは1950年。当初は木造2階建てで、1階に真空管や部品などを扱うテナントが入っていたという。ちょうどGHQ(連合国軍総司令部)の露店撤廃令で行き場を失った露店が、移転先を探していた時期だった。

62年、会館の南側に8階建てのビルが建つ。秋葉原電気街初の「高層ビル」だった。72年には会館自体を建て替え、南側のビルと合体して8階建ての秋葉原ラジオ会館本館が完成する。これが長らく「ラジ館」として親しまれてきたビルだ。当初は無線やラジオの部品を扱う店が大半を占めていた。

転機が訪れたのは76年。NECがマイクロコンピューター=マイコン普及の拠点として「ビットイン」をラジオ会館7階に開いたのだ。

ちなみにマイコンとは今でいうパソコン。7階フロアには長らく「パーソナルコンピュータ発祥の地」というプレートが飾ってあった。マイクロコンピューターが正しい呼び名だが、70年代後半には「マイコンピューター」の略という説もあったようだ。確かにこちらの方がパソコンのニュアンスに近い。

76年から77年にかけて、日本ではマイコンブームが到来した。76年、NECのマイコン「TK-80」が大ヒット。当時としては異例の6万台を売った。同年には西和彦らが日本初のマイコン専門誌「I/O(アイオー)」を創刊。西らが「月刊アスキー」を出したのは翌77年のことだ。

秋葉原ラジオ会館、店舗の移り変わり その1(1984年→91年)
階数1984年1991年7月
8F秋葉原ラジオ会館、ラジオ会館ホール、西東書房秋葉原ラジオ会館、ラジオ会館ホール、西東書房
7FNEC BIT-INN、マイコンスーパーグレイン、日立マイコンセンターGAIN、秋葉原BYTE SHOP KOYO、富士音響マイコンRAM、エフ商会NEC BIT-INN、スパーブレイン東海無線、日立マイコンセンターRAM、第一家電、パルテック、真光無線、エフ商会、ナダ無線
6F真光無線、サトームセン、協栄電気、第一家庭電器、小沼電気真光無線、サトームセン、富士通プラザ、協栄電気、第一家庭電器、小沼電気、メトロ電気商会、テレビイ商会
5F真光無線、サトームセン、協栄電気、第一家庭電器サトームセンパソコンランド、マイコンパルス、丸山無線、トモカ電気、佐伯無線、テレオン
4Fサトームセン、関東BYTEショップ、清進商会、木村無線、富士音響、三栄無線、東海オーディオ、若松通商サトームセン、パスカル、清進商会、木村無線、富士音響テープセンター、三栄無線、若松通商、丸善無線、ナダ無線、コトブキ
3Fサトー無線、第一家庭電器サトー無線、第一家庭電器
2F真光無線、サトームセン、第一家庭電器、光陽電気、丸山無線、大洋無線、花房電気真光無線、サトームセン、第一家庭電器、光陽電気、丸山無線、大洋無線
1F真光無線、小沼無線、サトームセン、第一家庭電器、トモカ電気、丸山無線、佐伯無線、テレオン、タイヨー無線、山本無線、コトブキ無線、ナダ無線、カブト電器、テレビ商会、十字屋真光無線、小沼無線、サトームセン、第一家庭電器、トモカ電気、丸山無線、佐伯無線、テレオン、大洋無線、山本無線、コトブキ無線、ナダ無線、カブト電器、テレビイ商会、十字屋

1970年代後半、マイコンブーム到来

ラジオ会館では、NECの進出以降、マイコン関連の店が急速に増えていく。

ゼンリンが発行する「住宅地図」には、巻末にビルやマンションの入居者名が一覧で載るコーナーがある。国会図書館で過去の秋葉原の住宅地図を調べてみると、84年以降の地図にテナント名が載っていた。さっそく変化を追いかけてみた。

84年時点で目立つのはやはり、「マイコン」だ。NECのほか、マイコンスーパーグレイン、日立マイコンセンターGAIN、富士音響マイコンRAMなどそれらしき名前が並ぶ。秋葉原BYTE SHOP KOYO、関東BYTEショップもそうだろう。

これが91年になると、サトームセンパソコンランドが登場。日立マイコンセンターRAM、マイコンパルスなど「マイコン」も健在だが、パソコンへと進む流れを予感させる。

98年1月発行の地図にはマイコンの文字がない。かろうじてマイクロコンピュータSHINKOがあるのみだ。ほかは三菱パソコンプラザ、コンピュターボなどの名前になっていた。

ちなみに表としては載せていないが、99年発行の地図をみると、マイクロコンピュータSHINKOが消え、シンコーとなっていた。名前からして同じ店だと思われる。ついにマイクロコンピュータ=マイコンは完全に姿を消した。

きっかけは海洋堂の進出 98年から激変

ラジオ会館は、ここから劇的な変化を遂げる。店の系統ががらりと変わったのだ。

いきなり飛ぶが、2003年8月発行の地図から抜粋した表を見てみよう。ボークス、イエローサブマリンなど赤い文字の店が増えている。赤は「フィギュア・アニメ系」の店舗を指す。それまで無線やオーディオ、家電やパソコン関連の店がほとんどだったのが、一気に塗り替わった。

この間、何が起こったのか。

明治大学国際日本学部の森川嘉一郎准教授は「98年にフィギュアの専門店がオープンした時から急変が始まった」と話す。店の名は海洋堂。それまで極めてマイナーだったフィギュア市場が拡大し、その需要が秋葉原に集まったことが、ラジオ会館、ひいては秋葉原の変貌をも後押しした。

2001年、NECビットインが撤退

海洋堂の本社は大阪府門真市にある。東京進出は84年。当初は茅場町に店を構えた。86年に渋谷に移り、ほぼ10年間を過ごす。97年に秋葉原に移転し、98年にラジオ会館に入る。ちょうどアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」ブームのまっただ中。97年に劇場公開されたこともあって、フィギュアが飛ぶように売れた。

海洋堂がラジオ会館4階に店を構えたのとほぼ同時期、3階に同人誌やアニメグッズ専門店、ケイ・ブックスが開店する。その3カ月後には6階にボークスが登場。アニメキャラクターなどの人形や模型を販売するガレージキットの店だ。

秋葉原ラジオ会館、店舗の移り変わり その2(1998年→2003年)赤字はフィギュア・アニメ系の店舗
階数1998年1月2003年8月
8Fイベントホール、西東書房、秋葉原ラジオ会館秋葉原ラジオ会館、西東書房
7FNEC BIT-INN、NECシステムイン秋葉原、メモリディスカウントショップ、第一家電、フジオン、エフ商会、ナダ無線ボークス、イエローサブマリン、エフ商会、アイティーエス、ホビーベース
6FマイクロコンピュータSHINKO、サトームセン、PCワークショップ、ネットワークプロショップ、TOKAIボークス秋葉原ショールーム、東海無線、トモカ電気
5F三菱パソコンプラザ、FIRST POINT、コンピュターボ、丸山無線、テレオン、佐伯無線、コムホビーベース、イエローサブマリン、ケイ・ブックス、丸山無線、テレオン、FIRST POINT、PCテクノロジー、西川無線、佐伯無線、ナダムセン
4Fサトームセン、清進商会、キムラ無線、インパルス、三栄無線、若松通商、マルゼンムセン、フジオンPART4海洋堂ホビーロビー東京、イエローサブマリン、ホビーベース、サトームセン、若松通商、清進商会、キムラ無線、インパルス、I.T.セキュリティー、アイティーエス
3Fサトー無線、第一家庭電器ケイ・ブックス秋葉原新館、リサイクルショップ ケイ・ブックス
2Fサトームセン、第一家庭電器、トモカ電気、光陽電気、KOYO、サウンドブティック超音波トモカ電気、光陽電気、サトームセン、キングスター、海洋堂ホビーロビー東京おかし館、永保堂、マックスガレージ、セール東京店、マック商事
1Fファーストポイント2、サトームセン、第一家庭電器、トモカ電気、テレオン、丸山無線、佐伯無線、TOKAI、オーディオヤマモト、山本無線、コトブキ無線、ナダ無線、アストップアストップ、トモカ電気、テレオン、丸山無線、佐伯無線、東海無線、PCテクノロジー、サトームセン、コトブキ無線、山本無線、ナダムセン、斉藤機工、KKテレオン

99年1月にはフィギュアや模型を売るイエローサブマリンが開店。これらが中心となってラジオ会館の店舗が大きく変わっていく。森川准教授によると、00年末には会館の約半分をアニメやフィギュアなどの専門店が占めるようになったという。98年までは1店もなかったことを考えると、変化の波はあまりに大きい。

そしてついに01年8月、象徴的な出来事が起こる。NECビットインが閉店したのだ。跡地にはボークスが入居した。76年の登場から四半世紀。新旧の主役交代を確認した瞬間だった。

ちなみに「パーソナルコンピュータ発祥の地」のプレートは、ビットイン閉店後も7階に飾ってあったが、今回の建て替えで姿を消した。

サブカルと家電量販、主役交代の最前線

それにしてもなぜ、ここまで急激に店舗構成が変化したのか。森川准教授に聞いた。

「97年前後のエヴァブームで関連業界が勢いづき、一等地に出店する体力がついたこと、逆に電器店が衰えラジオ会館から撤退したこと、の両面があります」

97、8年といえば、金融危機が起きた時期。山一証券の廃業が97年だった。家電量販店業界ではコジマなど郊外型大型店とヨドバシカメラなどターミナル型大型店が台頭し、秋葉原の量販店は苦境に立たされていた。

住宅地図でラジオ会館の店舗名を追っていくと、2000年代に象徴的な出来事が続いた。01年まで1階にあった第一家庭電器が、翌02年にはなくなっているのだ。64年に家電量販として初の上場を果たし、一時は業界最大手となった同社だが、02年に経営破綻した。

ラジオ会館のもう一つの顔だったサトームセンも、06年に姿を消す。同社も経営不振からヤマダ電機に吸収され、秋葉原駅前にあった店舗は現在、ヤマダ電機になっている。ラジオ会館はまさに、家電業界の栄枯盛衰の最前線でもあったのだ。

ラジオ会館1階に観光向けの店舗 地下に初の飲食店

では今回の建て替えにはどんな傾向があるのか。店舗構成を見る限り、アニメ系の隆盛は変わらない。ただ会館に足を踏み入れてすぐ気がつくのは、一般向けの店が目立つ点。1階にはコンビニと土産店が入り、地下には銀座ライオンが入った。ラジオ会館史上、初めての飲食店だ。観光客やライト層を意識しているようにもみえる。

森川准教授は「00年代中ごろにアキバブームが起こり、秋葉原は観光色が強くなりました。ラジオ会館1階の構成はその延長線上にあります」と分析した上で、今後は20年の東京五輪に向けて、日本のサブカルのとらえ方が街に作用していく可能性がある、とみる。ラジオ会館のこれからは、サブカルの今後を読み解く上でも注目される。

変化を受け入れる秋葉原

秋葉原は昔から変化の激しい場所だ。江戸時代の大火、関東大震災、太平洋戦争と何度も焼け野原となり、そこから街をつくり直してきた。戦後、露天商から始まった電気街がサブカルの街に変貌したのも、秋葉原という街が持つ再生機能なのかもしれない。

ただ、交通の要衝であり、人やモノが集まる場所として栄え続けている点では変わらない。

明治時代には伊勢丹がこの地で生まれた。中央線は東京駅発着ではなく、秋葉原にあった万世橋駅がターミナルだった。貨物駅があり日本通運の本社が置かれるなど物流の拠点でもあった。昭和時代には青果市場があり、東京都民の胃袋を支えた。あまり関係ないが、ラジオ体操会も秋葉原生まれだ。このあたりの事情は「伊勢丹はアキバ生まれ、ルノアールは…意外な創業物語」「東京駅、中央線ホームなぜ高い 鉄路争奪戦の力学」「世界初の駅伝は『京都―上野』 100年前、3日で500キロ」に詳しく書いた。

そんな秋葉原の変化を象徴するのがラジオ会館だ。森川准教授は語る。「中央通りは土地が細切れで大規模開発が起こりにくい半面、新興の業種が入り新陳代謝が起きやすい。ラジオ会館のフロアも同じ構図で、ラジオ会館は秋葉原の縮図ともいえます」

新陳代謝を繰り返し、時代の空気を映し出す。秋葉原が持つパワーの源泉は、変化を受け入れたことにあるのかもしれない。(河尻定)

秋葉原ラジオ会館、店舗の移り変わり その3(2011年→14年)赤字はフィギュア・アニメ系の店舗
階数2011年2014年
10Fイベントスペース、トモカ電気本社
9Fビッグマジック、ファントム
8F秋葉原ラジオ会館、西東書房、イベントスペースボークスホビースクエア秋葉原、ボークスドールポイント秋葉原
7Fボークス、イエローサブマリン、アイティーエス、インパルスアゾンレーベルショップ秋葉原、ジャングル、FEWTURE SHOP AKIBA、トレカパーク7
6Fトモカ電気、ボークスイエローサブマリン
5F海洋堂ホビーロビー東京、TRIO、ロボットロボット、宇宙船、アキバのエックス、清進商会、インパルス、若松通商
4F海洋堂ホビーロビー、イエローサブマリン、アゾンレーベルショップ、宇宙船、インパルス、若松通商、キムラ無線ケイ・ブックス秋葉原本館
3Fケイ・ブックス秋葉原新館・本館ケイ・ブックス秋葉原新館
2Fイエローサブマリン、ホビーショップコトブキヤ、ハビコロ玩具、ホビーステーション、I.T.セキュリティー、マックスガレージ、永保堂、トモカ電気ハビコロ玩具、アストップ、ホビーステーション、永保堂、トモカ電気プロショップ
1Fアストップ、ホビーショップコトブキヤ、コトブキ無線、テレオン、丸山無線、佐伯無線、トモカ電気、山本無線、カードキングダム、マックスガレージ、FIRST POINTギフトショップThe Akiba、サンクス、カードラボ、トレカパーク1、UNiCASE、オンデーズナイン
B1F銀座ライオン
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