ふるさと納税、特産品だけじゃないメリット

2014/9/11
好きな自治体に寄付をすると、その額に応じて税負担が減るふるさと納税制度。寄付を受けた自治体から贈られる特産品に注目が集まり、マネー雑誌で特集されることもあります。このふるさと納税、「税なのにお得」という以上に、税のあり方に一石を投じる仕組みのようです。青山学院大の三木義一教授に聞きました。

■故郷に恩返しできなかった

――ふるさと納税はそもそもどういう事情でつくられた制度ですか。

この制度の出発点は、自分が生まれ育ったふるさとに税を納める機会がないという問題意識です。

自分が住んでいる自治体に納める税を住民税といいます。これは、自治体が提供する行政サービスの対価として払うもので、「受益者負担」という考え方のもとに課されています。ですから、所得税のように収入に応じて税率が変わることもありませんし、「均等割」といって、一定以上の収入があれば全員に同じ金額が課される部分もあります。所得税など国に納める税にも「サービス料」の要素はありますが、自治体の方がより距離が近いので、このような仕組みになっているのです。

ところが、地方で育って進学や就職を機に都会に出る人は、働いて税を納めるころには故郷を離れているので、教育などの形で自分に税金を使ってくれた自治体に納税で恩返しできません。地方自治体は税収の確保に苦労しており、税を通じて生まれ故郷に貢献できるような仕組みを求める声が上がっていました。総務省は「ふるさと納税研究会」をつくって議論を進め、2008年の法改正でふるさと納税制度が導入されました。

――「ふるさと」といいながら、全国どの都道府県、市区町村を選んでもよいのですね。

生まれた地域か、育った地域か、それに限らず愛着を感じる地域か……ふるさとを定義するのは難しいですよね。ふるさと納税研究会の報告書には、納税者がどこをふるさとと考えるかを尊重することが、制度の思想上重要だと書かれています。その考え方をもとに、全国どこでも納税者が選んだ自治体を「ふるさと」として認める制度になりました。

――実際には税ではなく寄付として扱われるとのことですが、仕組みとして回りくどくありませんか。

税は課されて初めて納めるものです。住民税は「行政サービス料」ですから、住んでいない人から集める権利は自治体にはありません。自主的に払うのであればそれは寄付ですよね。制度上は、寄付金控除といって、寄付金額に応じて所得税と住民税の額が減る仕組みになっています。自治体が集める住民税だけでなく国が集める所得税も減るのは、同報告書によると、ふるさと納税は国にとっても大きな意義があり、応分の負担をするのが望ましいためとされています。

どれだけ税額を減らせるかは、その人の収入や家族構成によって変わります。上限は、住民税のうち所得に10%の税率をかけて徴収する「所得割」の1割です。高収入で扶養家族が少ないほど、減額幅が大きくなります。税の減額は、寄付金額のうち2000円を超えた分に適用されます。限度額の範囲内であれば、2000円の負担でいくらでも寄付ができるということです。

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし