N
ライフコラム
生きものがたり

動物の瞳 適応進化の過程で瞳孔の形は様々

2014/9/13

生きものがたり

猫の瞳孔は縦に縮む

ペット動物の診療にも眼科疾患がある。近年は獣医眼科の専門医がいて、白内障で視力をなくした犬では、水晶体内の白濁を取り除き、眼内レンズを入れる手術まであるが、まぶた周辺の炎症、軽度の結膜炎や角膜炎などは一般臨床医が対応する。

馬の瞳は縮むと横に細く

ペキニーズやシーズー、狆(ちん)などの短頭種は大きな目玉をむいているのが特徴で、そのために眼の病気が多い。彼らは柴犬(しばいぬ)などと比較して異常に眼球が大きいわけでない。顔面が短くなるのと同時に眼窩(がんか)を構成する骨が浅くなり「眼球が収まりきらなくなった」とは、獣医眼科の基礎知識である。

人や犬の瞳は丸い。猫の瞳孔が縮んだら縦に細くなるのも、飼育したことのある人なら誰でも知っているが、馬の瞳が縮んだとき横に細くなることは、あまり知られていない。

馬の瞳孔は横に縮むので、左右の視野が確保できる

瞳の形態の動物種による違いは、獣医眼科学以前に比較動物解剖学のテーマである。日差しが強いとき、馬の瞳孔が縦に縮めば視野が狭まり、背後や側面からの肉食獣の接近を許してしまう。瞳孔が横に縮むのは左右への視野を確保し、広々とした草原で生活してきた草食動物の適応進化である。一方、猫はジャンプ力に優れ、木登りをする。地上から縦へ上下する生活に瞳孔の形態が適応したと考えられる。

注目記事