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「カレーの矛盾」が原動力? 即席カレー戦国史 編集委員 小林明

2014/9/5

■ハウスは高級市場、エスビーは子ども市場を切り崩し

第2次戦争が起きたのは60年代後半~70年代末。高度経済成長に合わせて市場が急拡大した時期。ここでは子ども層をがっちりつかんだハウス食品、大人向けの高級路線のエスビー食品が互いの牙城の切り崩しを狙う激しい「2強対決」となった。

また同時に、カレーの味を子どもが好む甘口にするか、大人が好む辛口にするかで悩む「カレーの矛盾」も表面化した。

ハウス食品はエスビー食品の牙城である大人向けの高級市場への攻勢を強める。

68年に「南の香り・爽快なシゲキ・オトナのカレー」などと銘打った「ジャワカレー」(125グラム入り80円)を発売。75年にはさらに上級の市場を狙った「デリッシュカレー」も売り出した。

一方、エスビー食品は主力の「ゴールデン」よりも高級な「ゴールデンディナーカレー」(180円)を73年に発売。得意の高級市場をてこ入れする一方、ハウス食品の「バーモント」に対抗するため、ミルク、ハチミツ、バナナ、リンゴ、カカオなどを加えて甘くてマイルドな風味にした「レーンボーカレー」(130円)も74年に売り出し、子ども層を取り込もうと攻勢をかけた。

■第2次戦争の結果は1勝1敗1分け

業界関係者によると、ハウス対エスビーの第2次戦争の結果は両者とも1勝1敗1分けだったという。

子ども向け商品ではハウス「バーモント」(エスビーの対抗商品は「レーンボー」)、最高級商品ではエスビー「ディナー」(ハウスの対抗商品は「デリッシュ」)が勝ち、高級商品ではハウス「ジャワ」とエスビー「ゴールデン」が引き分け。こうした競争を通じて即席カレーは飛躍的な進化を遂げた。

■甘口か?辛口か?「カレーの矛盾」→風味の多様化

この時期に浮上した「カレーの矛盾」について説明しておこう。

家庭で作るカレー鍋は基本的に1つ。だから、それを子どもに合わせた甘口にするか、大人に合わせた辛口にするかで頭を悩ませることになる。

ひとまず子どもが食べられる甘口で作り、お父さんにはソースやタバスコ、トウガラシ、コショウなどの香辛料を使って好みの辛さに調整するなど、各家庭であれこれ工夫していたようだ。やむを得ず鍋を甘口と辛口の2つに分けて作ったりするケースもあったらしい。

皆さんの家庭ではどう対応していただろうか?

ともあれこれ以降、カレーの風味は多様化の傾向を一段と強めていく。

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