アカシュモクザメ 何かと役立つT字型の頭部

アカシュモクザメは大きな群れをつくることもある(東海大学海洋科学博物館提供)

シュモクザメはT字型の頭が印象的なサメで人気がある。熱帯地方を中心に暖かい海に生活しており、日本には3種のシュモクザメが分布している。その中で最も普通に見られるのがアカシュモクザメで、大きくなると4メートルを超える。アカシュモクザメはサメの仲間では珍しく群れをつくる習性があり、ときには何百という大きな群れになるという。

かつては飼育困難 今は周年展示可能に

昔から水族館で展示できないかと考えられていたが、左右に突き出た目などを水槽の壁で擦ってしまうことが多く、飼育の難しいサメである。

葛西臨海水族園では、前身の上野動物園水族館時代からこのサメの飼育に挑戦していた。小笠原で捕らえた40センチほどのアカシュモクザメを定期船で輸送していたが、初めの頃は良い状態で入手できなかった。それでも、釣り上げたサメの背びれを持って素早く運び、さらに、船上での水の揺れを防ぐために落とし蓋式の輸送水槽を工夫するなどして、かなり良い状態で輸送できるようになっていた。

ただ、水槽の壁に目やヒレが触れると、そこから傷が広がって死亡してしまうなど、長期間の飼育はできなかった。そこで、サメが水槽の壁に近寄らないようにするため、水槽内になるべく水流をつくらないようにするとか、水槽の中央だけ明るくし周囲の壁の近くは暗くするなどして、ようやく安定して飼えるようになった。今では周年展示して2メートル近くまで成長させることができている。

サメは人を襲う凶暴な動物として恐れられている。日本でもまれにサメによる被害が起きている。サメは世界で490種ほどが知られており、その中で人を襲うサメは30種ほどに限られている。シュモクザメ類はこの30種の中に入っているが、死亡事故は報告されていない。

アカシュモクザメの目は頭部の両端にあって横を向いている(葛西臨海水族園提供)

特徴的なT字型の頭部にどんな機能があるのかというと、それにはいくつかの説が唱えられてきた。

古典的には、両端に目があるので、視覚的に距離を測るのに便利だという説があったが、シュモクザメの目は横向きについているので、前方の何かに両眼の焦点を合わせるのは向いていないようである。