■ラコステ創業者が考案
「今年は日本でポロシャツを販売するようになってから50周年になります」と話すのは、ワニのマークでおなじみの仏カジュアル衣料ブランド「ラコステ」製品を日本で製造販売するファブリカ(東京・渋谷)マーケティング部の川島由美さん。
ポロシャツとは、今日一般的にはジャージー素材でボタンが2、3個ある襟付きの半袖シャツを指す。川島さんによると、現在普及しているポロシャツは、ラコステの創業者で著名なテニス選手でもあったルネ・ラコステが1927年に世界で初めて考案した。
当時のテニス選手は、長袖で襟のあるゆったりしたワイシャツのようなシャツを着てプレーしていた。「もっと選手が動きやすいシャツはないものか」と思っていたラコステが目を付けたのが、ポロの選手が着ていた吸汗性にも優れたジャージー素材のシャツだった。これをテニスシャツに応用しようと考えたわけだ。
■ポロ選手のシャツに襟付ける
彼は生前のインタビューでこの経緯に言及している。それによると、当時のポロ選手はTシャツのような丸首シャツを着ていたが、テニス用らしく襟を付けることを思いついた。最初は自分が炎天下で試合をするために仕立てたが、注目を集めたため、友人とともにメーカーを設立し、1933年に一般向けにも売り出したという。
当時の商品名は「シュミーズ・ラコステ(ラコステ・シャツ)」で、最初の広告コピーは「テニス、ゴルフ、マリンスポーツのために」だった。どういうわけか「ポロのために」とは一言もうたっていない。
現在でもポロシャツのことを「テニスシャツ」や「ゴルフシャツ」などと呼ぶことがある。だが、そもそもなぜ「ポロシャツ」と呼ぶようになったのか。川島さんも「ラコステが50年前に日本で売り出した時もポロシャツと呼んでいた」と話す。
そこで専門書にあたってみることにした。20世紀の紳士服の歴史を解説した米国の書籍「Esquire's Encyclopedia of 20th Century Men's Fashions」(1973年刊)。同書によると、今日のポロシャツは1928年には既に英国や米国のテニスプレーヤーが着用し、米国では多くの店が販売していた。「ポロシャツ」という呼称は、この頃から広まったという。