2014/9/1

安心・安全

無線ヘリで素早い情報収集

総務省消防庁の消防研究センター(東京都調布市)では無線操縦ヘリを使った無人偵察システムの開発が今年から本格化している。メーカーと共同で開発が進むのは幅1メートルほどで、8つのローターをもつ機体。一見きゃしゃな印象だが、最大2.5キロまでの撮影・通信機材が積める。画像を地上に伝送するほかに、生存者の熱源を映し出す赤外線カメラ、ガス検知器など消防ならではのセンサーの搭載も検討中だ。

開発が進む無人偵察ヘリ。ガス検知器などの搭載も目指す

2011年3月の東日本大震災では「救助要請を受けても場所が分からない」「がれきの先に何があるか分からない」などの声が上がり、大規模災害における俯瞰(ふかん)情報の重要性が浮き彫りになった。状況を早く正しく把握することで、人員の配置が迅速にできる。そのため、有人ヘリを配備する一方で、すぐに飛ばせて現場で見ることができる偵察システムも必要とされている。

「現着してから5分で飛ばせるヘリが目標」と地震等災害研究室の新井場公徳・主幹研究官。各消防署への配備を想定し、現場の隊員がすぐに飛ばせるシステム作りを目指す。近い将来、消防車に標準装備された無線操縦ヘリが、人命救助のスピードをさらに早くしてくれるかもしれない。

高校生はご近所の強い味方

防災技術が進んでも災害時には人々の協力が欠かせない。首都直下地震の発生で予想される帰宅困難者は約517万人。東京の都立高校はその一時待機所として地域の支援拠点になる。都は今年から全180校に「防災活動支援隊」を結成し、災害発生時に避難者の誘導や応急手当てなどをする生徒のリーダー養成をはじめた。7月中旬、都立小金井北高校の防災訓練に同行した。

訓練で地域の消火栓を確認する「防災活動支援隊」の高校生

「よいしょ~」。防災倉庫の前から薪(まき)や食料を満載したリヤカーが滑り出す。押して歩くのは体操服に軍手姿の高校生12人。住民の案内で、地域の防災倉庫や消火栓の位置などを確認して回る。メンバーは放水ホースを消火栓に差し込む訓練、夕方は炊き出しの支援に回る。300食分のすいとん汁を調理する地域住民のかたわらで、配膳役となり他の生徒たちにくまなく食事が行き渡るように気を配った。

高校は小中学校に比べて通学範囲が広く、生徒と地域とのつながりが希薄になりがちだが、「万が一の時はよろしくね」と声をかける住民も。ここ一番で頼もしい若者たちが地域の防災活動を支えていきそうだ。

(写真部 小川望、浦田晃之介、柏原敬樹)

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