2014/9/1

安心・安全

子供を守れ 避難訓練用シミュレーター

大地震が発生。津波が来る前に教室の子供たちを安全に高台へ避難させられるか――。香川大学の危機管理研究センター(高松市)が教職員向けに避難訓練のシミュレーターの開発を進めている。

幅が約5メートルの大画面に、建物や電柱が倒れた街並みのCG映像が映し出される。児童を引率している想定の教師役が「切れた電線に近寄っちゃダメ、危ないよ」と注意を呼び掛ける。そこに、動きをチェックするオペレーターが指摘する。「もっと大きな声を出して! 倒れた塀にも気をつけて」とアドバイスする。

避難訓練用シミュレーターで再現した、建物や塀が倒壊した道路

同センターは昨年、教室内での地震発生を想定したシナリオも開発した。しっかり机の下に隠れるように呼び掛けないと児童が落下物でけがをするほか、児童への注意に気を取られすぎて自分の身を守らないと教師自身が負傷してしまうなど思わぬ展開になり、いざというときの課題を見つけることができる。シミュレーターを体験した香川県教育委員会事務局の高木成明さん(49)は「頭で分かっているつもりでも、実際に画面を見てやるととっさに体が動かない。臨場感のある体験で、冷静に判断する力を高められそう」と話す。

「南海トラフ地震が起こると四国など広範囲に津波が押し寄せる。地域や企業の防災担当者もこのシミュレーターを活用してほしい」と、開発した白木渡センター長(65)はいざというときに正しい判断と行動ができるよう期待する。将来は全国でも訓練を受けられるようネット配信も構想中だ。

津波の威力を水路で研究

「ドーン」という鈍い音の直後、大量の水しぶきで視界が一瞬遮られると、矢継ぎ早に重さ200キロの丸太が押し寄せてきた――。地震による津波が防潮堤や建物に与える力はどのくらいなのか。海と対峙する構造物の設計に生かすため、電力中央研究所(東京・千代田)は4月、新たな実験施設を千葉県我孫子市の研究拠点に作った。

津波を自在に再現し、構造物に加わる力を測定する

「津波・氾濫流水路」と名付けられた施設の水路は幅4メートル、長さ20メートルあり、その先に650トンの水を蓄えられる巨大タンクが設置してある。大量の水を水路に流し、ゲートやバルブを連動させて調節。第1波に加えて第2、第3の波を次々と作り出し、引いては寄せる津波の複雑な流れを再現できる。現在は幅広の流水路に自動車などを入れ、波にさらわれた漂流物の衝突で、構造物がどのように壊れるかを実験中だ。

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